*第1回都民塾のご報告

2012年11月17日(土)午後、東京シティ・エアターミナル

「政治への強い不信感が蔓延している今、皆で政治や経済、国際問題などの情報を高め、共有し合う勉強会を持とう。この国を衆愚政治にしてはいけない」と前東京都議会議員の立石晴康さんが立ち上げた都民塾。第1回都民塾が、産経新聞OBでフリー・ジャーナリストであり、メディアウォッチ100のデスクでもあるの山城オサムさんを講師に招いて、11月17日(土)午後、東京シティ・エアターミナル1F会議室で開かれ、150人が出席した。 
演題は、「わかり易い日本外交の現実」。
立石さんが「都民塾は、急に出来た組織ではなく、代表世話人の野口和久さんと2年前からあたためて来た構想です。第3極が乱立するなど混迷する政治、閉そく状況にある経済や国際問題。こうした課題を、講師に解いてもらおうという趣旨です」という挨拶のあと、山城さんが講演した。講演要旨は次の通り。

今日は、元外務省国際情報局長、防衛大学教授を歴任した孫崎享(まごさき・うける)氏がお書きになった『戦後史の正体』『日本の国境問題』という2冊の本をベースに話をします。日米同盟の要である日米安全保障条約は、日本が直面している3つの領土問題でどう機能するのか。実は米国の基本は、領土の主権問題については中立で、当事者同士で解決するべきという立場。



日米の相互防衛体制を取り決めた安保条約第5条では「日本国の施政下にある領域」が防衛対象です。つまり主権とは別に施政権が日本にある場合は、米国は動きます。この結果、ロシアに実効支配され施政権がない北方4島、韓国に実効支配されている竹島は防衛対象外。米国は動きません。しかし、日本が国有化し実効支配している尖閣諸島については防衛対象、適用範囲です。いざとなれば米国は動きますが、あくまで日本自身が防衛の先頭に立つことが大前提です。
戦後の安保条約成立の経過をみますと、米国は、日本にいったん平和憲法を押し付けて軍事力ゼロにしたものの、ソ連との東西冷戦の発生とともに“防波堤”の役割を担わせるため再軍備させます。と同時に米国が「望むだけの軍隊を、望む場所に、望むだけ駐留する」ことができるよう同条約とともに密かに行政協定(現在の地位協定)を一方的に結ばせました。


米軍の軍関係者の治外法権を認めるなど不平等な内容です。この問題は現在も解消されていません。なぜこうなったのか。日本は占領が終了して独立したのに、元総理大臣の吉田茂を筆頭に日本の政治家や外交官が、占領時代と変わらない米国追随に走ったからです。


自主独立派は、元外務大臣の重光葵(まもる)さんらごく少数でした。戦後60年以上を経ても、この悪しき米国追随の体質は変わっていません。日米同盟はもちろん大切ですが、米国にモノを言える自主独立外交の時期に来ているのではないでしょうか。国民自身も、メディアを鵜呑みにせず、常に情報をチェックして事実を知る努力が求められています。講演の後の質疑応答も大いに盛り上がった。