*第39回都民塾のご報告

2016年7月28日(木)中央区築地本願寺講堂

第39回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成28年7月28日(木)午後7時から中央区の築地本願寺講堂で、フジテレビでニューヨーク支局長などを務めた評論家の澤 雄二先生を招いて「消費増税再延期の背景 -消費税の是非論-」をテーマに開かれた。
          
澤先生は、1948年、大阪生まれ。1971年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、フジテレビに入社。報道局政治部、社会部、外信部記者などを務め、「FNNスーパータイム」や「報道2001」などを立ち上げる。参院議員を1期務めた。
            
消費税引き上げを5%から8%にする道筋を安部首相とともにつくった民主党政権の野田首相の「嘘」から話し出した。野田首相の「欧米は消費税20%以上だが、日本は5%で3%上げて社会保障に使いたい」という言に異議を唱えた。
 
「欧州は20%だが、米国は州によって異なるが6~8%。欧米と日本は、年金、医療保険など義務的支出は同率だが、欧米は消費税を年金や医療保障に充てるが、日本は、それらが充実しており20%と5%で比較するのはおかしい」
 

野田首相の「1兆円を超える借金があり、このままではギリシャのように破綻する」発言にも、「ギリシャの債権者は外国で、外国が債務を取りに来たら破綻するが、日本の債権者の95%は日本企業で安心だし、対外純資産は黒字、企業の内部留保も500兆円もあり、1兆円の借金は屁とも思わなくてよい」と断じた。
 
89年の消費税(3%)導入以降の国の税収の推移を解説。「3%で年間6兆円の税収を見込んだが、3年後には3種の税収(所得税、法人税、消費財)はマイナスに。97年に5%に引き上げ、消費税の税収は10兆円で推移。03~06年の景気拡大期は法人税の税収は上がったが、国民の所得は増えなかった」
 
09年のリーマンショックのあと、GDPが、欧米が6%なのに対し、日本は12%下がった。「GDPの60%は消費による。欧米に比べ消費する力がなかった。この間、財務省は税収だけは確保したいと医療健保料を毎年上げたり、介護保険の適用年齢を下げたり国民から金を取ることばかりで消費する力を失った」
 
「日本には金がないのだろうか」と続けた。「民主党政権のやった事業仕分けを1,2年かけてやればいい。公務員の定期を1カ月から半年に変更したら50億円も浮き、小中学校の天井の高さを1㍍低くしたら450億円も安くなった」
 
「今後、消費増税はしなくてよい」と、こう結んだ。「下水道特会、エネルギー特会など各省庁の特別会計には無駄ともいえる予算がかなりある。さらに、国の予算執行を単年度会計から複式会計にすれば予算は大幅に削減できる。また、米国のシェールガスより有望な日本近海のメタンハイドレート開発やリニアモーターカーの前倒し運行、日本の技術力を活かした新しい産業の創設など金を生みだす材料は多い。これらを、官僚任せでなく政治が先頭に立ってやるべきだ」
 
質疑応答では、安倍政権の経済政策、年金問題やTPP加盟など多岐にわたる質問に澤先生は丁寧に答え、70人の出席者は大きな拍手を送った。