*第42回都民塾のご報告

2016年10月27日(木)中央区築地本願寺講堂

第42回都民塾(呼び掛け人 立石晴康東京都議会議員)が、平成28年10月27日午後7時から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。
          
今回は、東京消防庁前防災部長の関 政彦さんが「首都直下地震に備える~想定される被害と対策について~」をテーマに講演した。           
関さんは昭和31年生まれ、早稲田大学卒業後、東京消防庁に入庁。総務省消防庁消防大学校副校長、消防学校長、防災部長などを歴任、9月に定年を迎えた。
            
関さんは、「地震、雷、火事、親父」のことわざから話を始めた。「この順番は被害の大きさからか?怖いもの順か?被害は、雷による死者は年間2,3人、火事は100人、親父はゼロ。予測できるかどうか?親父の怒りは予測が出来る。火事は防げる、東京消防庁職員の家では私が入庁以来、火事は1件も起きていない。
雷の発生は防げないが、対策は出来る。地震は、予測は出来ず、対策をとっても津波など被害は甚大。このことわざは、怖いもの順に並んでいるのです」
 
東京消防庁の組織、震災の初動体制、通常時と震災初期と拡大する災害対応を説明した後、震災時の情報収集について話した。「震災による被害を軽減するため、10のシステムで構成する震災消防対策システムがある」と延焼シュミレーションシステムを映像を使って紹介した。
人形町や月島地区で、火事が起きたとき、消防車が来ないで住民が何もしなかったら鎮火するまでどこくらい時間がかかり、どれだけ延焼するかがわかる。リアルな映像に出席者は真剣な表情で見入った。
 
「首都直下地震は30年以内にM7程度が起こる可能性が70%」という国の予測を説明、①歴史的に繰り返す地震②過去の大地震の被害③平成28年熊本大地震について言及。「関東大震災は火災が被害を拡大、阪神・淡路大震災は90%が建物崩壊、東日本大震災は津波の被害が甚大だった」
熊本大地震では火災が16件と少なかった。「揺れた範囲が少なかったが、九州電力が通電火災防止で各家庭を回ってブレーカーを切って回ったこともある」
 
大震災のとき、防災機関は何が出来るか?「阪神淡路大震災では地震後の家屋での閉じ込め(16万4千人)のうち①自力で脱出78.8%②住民による救助16.4%③警察・消防・自衛隊4.8%。この数字からも自助・共助が重要だ」
地震時の家具類の転倒・落下・移動による被害について「落下による負傷だけでなく入口をふさぐ避難障害、ストーブなど火気に落下する出火など被害が拡大する。転倒防止対策はどの家庭でもとっておいてほしい」
 
電気・上下水道・都市ガスの停止日数を説明、「生活再建には、最低でも7日が目安となる。水・食糧などは7日分の備蓄が必要です」と述べた。
大震災のとき、住民はどうすればよいか?「自治体等の発令する避難指示・勧告や過去の経験から、どのように被害が出るかを考えておいて、避難訓練、備蓄、家具類の転倒防止など事前に出来る対策をしておいてほしい」と語った。