*第7回都民塾のご報告

2013年5月30日(木)中央区築地本番時講堂

第7回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・前都議会議員)が、平成25年5月30日(木)午後6時から中央区の築地本願寺講堂で、明治大学政経学部准教授の飯田泰之先生を招いて開かれた。テーマは、「アベノミクスで変わるこれからの日本経済」。アベノミクスへの関心が高く120人の出席者は真剣な表情で聞いた。
飯田先生は、東大経済学部卒の経済学者、エコノミスト。テレビに登場してわかりやく歯切れのいい経済解説で人気がある。デフレ下の消費増税には反対で、増税の前にインフレ目標の設定や量的緩和などを主張するリフレ派の論客。
大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」とするアベノミクス(経済政策)から話し出した。
「経済学的に理にかなっている。小泉政権の改革は規制緩和が柱だったが、一部の人しか儲からなかった。成長戦略に必要な金融緩和、財政出動で多くの企業、多くの人が新しい事を考え、新しい技術を生み出せば経済は成長する」
「アベノミクスは、昨年11月14日の野田首相の解散宣言がスタートとすると、効果が出るには1年半はかかる。なので、実体経済に効果が出るのは2014年の春になるだろう」と述べた。
最近の株価乱高下については「1か月前に14000円を割って13600円になった。これが、落ち着きがいい、いいラインだと思う。アベノミクスで儲けようというのは無理で、大暴落もなく下落しても、どこかで安定するだろう」
続いて、▽米国の1912年のルーズベルト大統領のニューディール政策▽日本の1927年の昭和金融恐慌と犬養首相▽日本の江戸時代の徳川吉宗と徳川家斉の経済政策の3つを紹介しながら景気回復策を説明した。
「ルーズベルトの金本位制廃止は株価上昇につながった。昭和金融恐慌は、関東大震災、脆弱な内閣、そこから脱却した犬養内閣という流れがあった。徳川吉宗と徳川家斉は小判の金の量を減らすなどして財政再建に貢献した。3つとも安倍内閣の経済政策と、どこかで重なる部分がある」
こう付け加えた。「徳川家斉は景気回復させたのに評判が悪かった。商人だけが潤ったため格差が生じた。アベノミクスの懸念は、ここにある。いま景気回復の途上で、潤っているのは一部企業と自分でビジネスする人。これで終わると安倍首相の評価も下がってしまう」
講演後の質疑応答も盛り上がった。「消費増税の行方は?」の質問に、「増税の開始時期を2年先延ばしにするか、1%づつ5年間消費増税を行うか、3%増税を行うにしても大型補正を組み割戻減税するか、の3つが考えられるが、一長一短ある」と答えた。飯田先生の話を聞きもらすまいとメモを取る出席者も見られた。「都民塾はシンクタンクになるべき」という出席者の声が印象に残った。