*第10回都民塾のご報告

2013年9月28日(土)中央区築地本願寺講堂

第10回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成25年9月28日(土)午後2時から中央区の築地本願寺講堂で、伊藤三郎氏(朝日新聞政治部OB、「メディアウオッチ100」同人)を招いて開かれた。
テーマは「アベノミックスと景気の行方」。伊藤氏は、1940年生まれ、慶應義塾大学経済学部卒、朝日新聞経済部、ロンドン特派員。94年から96年まで政府の税制調査会委員、消費税が3%から5%に上がった際、反対論を主張した。
伊藤氏は、「築地界隈は、朝日新聞時代から通った心の故郷。今日も、場内の鮨屋や場外のラーメン屋、そば屋などを回ってきた。懐かしい人に会った。築地市場は文化遺産、東京五輪まで残してほしい」と述べた後、本題に入った。
「政府税調の委員は、“朝日新聞の社論とは別で、自分の意見を言う”という約束で引き受けた。3年間務めたが、この間、首相は細川、羽田、村山、橋本とコロコロ変わった。橋本首相が消費税5%引き上げを決断した。
5%の引き上げは、財務省ペースで進められた。私は、一貫して反対を唱えたが少数派だった。ガス抜きを狙って言いたいことを言わせた、と思わなくもない。消費税5%がもたらしたのは、デフレだけで、景気は良くならなかった。
私が消費税に反対するのは、今回もそうなるが、増税と減税が一緒では減税効果と増税効果がともに殺され、財政再建には繋がらない。かつて米ニューヨークタイムズは、消費増税をした橋本首相を緊縮財政論者の米フーバー大統領にたとえ、世界にとって深刻な問題は「日本のリーダーシップの真空状態」と警告した。
首相の決断は肝要である。田中角栄首相は、“角の一声”で、私の特ダネにもなった日本列島改造にからむ工場法をつくった。田中首相は『役人をどううまく使うか』、『役人に仕事をさせる』と話していたが官僚操縦術はピカイチだった。
田中氏と安倍首相は対照的だ。同じ党人派だが、田中氏は自分で財産を築き、政治の上でも自分で決断してきた。消費税アップは、安倍首相が決断したのでなく、民主党の財務省コンプレックスのある菅首相が財務省におもねて決めた。
安倍首相は、おそらく10月1日に消費税8%引き上げを発表するだろう。私は、言いたい。『安倍さん、ちょっと待ってほしい、財務省の口車に乗らないでほしい』。私の意見は、競馬で言う万馬券かもしれないが、言うべきことは言う。
消費税は来年4月から8%、再来年秋から10%になる。これが税収増につながるとは思えない。法人税引き下げなんてピント外れ。消費税はそもそも悪税、EU諸国は20%になっているが健全な国になっているといえるだろうか。
マスコミも財務省の言いなりから脱却し、言いたいことを言うべきだ。増税による公共投資も道路や建物はもういい。原発をやめてドイツのように脱原発、代替エネルギー設備施設の建設を景気浮揚策にしたらどうか」