*第17回都民塾のご報告

2014年4月19日(土)中央区築地本願寺講堂

第17回都民塾が、平成26年4月19日(土)午後2時から、東京・中央区の築地本願寺2階講堂で開かれた。弁護士の和田慎一郎先生が「身近な法律相談」と題して講演。『相続』、『建物賃貸借』、『保証』と関心のある法律相談の具体例を示したわかりやすい解説に90人の参加者は熱心に耳を傾けた。
和田弁護士は、1973年、中央区築地生まれ、慶応大学商学部で会計学を学んだあと法律を勉強して弁護士に。現在、築地で東京晴和法律事務所を共同で開業、土地建物の売買や明渡請求、遺産相続、離婚、交通事故などを主に取り扱う。サッカーの弁護士ワールドカップのメンバーとして活躍。
和田先生が、取り上げた相続、建物賃貸借、保証の相談事例から、いくつかを紹介したい。『相続』では、「先日、夫が亡くなりました。今の夫とは再婚で、子供は2人いますが、上の子は私の連れ子です。誰が相続人になりますか?」という相談に対して-。
「貴方(妻)と実子に2分の1ずつ相続されます。連れ子が養子縁組していれば、実子と4分の1ずつ相続されるので、再婚のさい養子縁組をしておいたほうがいいでしょう」
遺言では、「亡くなった父親が書いた自筆証書遺言が出てきましたが、日付が書いていないのですが有効ですか?」という相談には、「無効になります。4月吉日も無効で、4月末日だったら有効です」
「夫が亡くなりましたが、全財産をある財団に遺贈するという遺言が見つかりました。妻である私と子供達は相続できないのですか?」と相談には、「相続には『遺留分』という遺族の今後の生活の保証をする制度があります。直系親族だったら遺産の3分の1が相続できるといった制度です」
「父が亡くなりましたが、資産はなく借金がほとんどでした。息子である私は借金を返済しなければなりませんか?」の相談には、「相続放棄すれば、返済の必要はありません。相続放棄は、3ヶ月以内という期限がありますが、過ぎても家庭裁判所に申し立てれば大丈夫です」
『建物賃貸借』では、「賃借人が引越ししたようで、3ヶ月以上帰ってきません。貸室に残っている荷物を処分して、他の人に貸したいのですが?」の相談には、「勝手に処分しては駄目です。損害賠償を請求される恐れがあります。あくまで賃借人本人の承諾が必要です」
「契約書でペット禁止の特約をしているのですが、賃借人がペットを飼っています。契約解除ができますか?」では、「小さな犬で他の住民に迷惑かけない場合など必ずしも解除できるとは限りません」
『保証』では、「債務者が破産してしまったのですが、保証人は責任を負いますか?」では、「責任を問われます。保証とは、債務者が履行しないところを債務者に代わって保証人が履行することです」
「形だけ、絶対迷惑をかけないと言われて保証人になったのですが?」の相談には、「関係ありません。債権者と保証人の関係であり、債務者に代わって履行しなければなりません」
 「身元保証した者が会社の金を使い込んだ場合、身元保証人は責任を負いますか?」の相談には、「基本的には負います。身元だけの保証なので、ほとんどが減額されます」
質疑応答では、「知り合いのお嫁さんが夫の親に一所懸命尽くしたのに、法律で不幸な目に遭いました。日本人の良き国民性より、法律が優先する戦後社会はおかしいとは思いませんか」という質問に和田弁護士もタジタジ。よびかけ人の立石晴康都議が、駐日フランス大使だったポール・クローデルの言葉を引用して収めた。「私がどうしても滅びてほしくない一つの民族があります。それは日本人です」
 和田弁護士の事務所は、築地1-12-22 コンワビル13階。電話番号は、03-6278-7722。和田弁護士は、「法律の相談は早いほうがいい。気軽に来て下さい」と語る。