*第24回都民塾のご報告

2014年12月25日(木)中央区築地本願寺講堂

第24回都民塾が、平成26年12月25日(木)午後7時から、東京・中央区の築地本願寺2階講堂で、政治ジャーナリストの篠田憲明氏を講師に招き、「総選挙の結果に見る政治経済の動向」と題して開かれた。
篠田氏は、昭和46年、早稲田大学政経学部政治学科卒。卒業後、欧州留学を経て時事通信社に入社。政治部記者、香港支局長などを務めた。政治部時代は、田中角栄番として活躍、現在は政治ジャーナリストとして講演等の活動を行っている。
篠田氏は、田中角栄元首相の思い出から話し出した。「田中番をしていた頃、社会党の土井たか子、民社党の春日一幸といった個性ある政治家がいた。しかし、田中角栄に接すると他の政治家が小さく見えた。今太閤といわれた角栄氏がいなければ日中国交回復は実現しなかった」
先の衆院選の結果について、「安倍晋三総理(自民党総裁)の率いる自民党と公明党の与党が衆院定数の3分の2を超える326議席を獲得、圧勝に終わった。これは有権者が多くの自公両党の連立政権を支持した結果であり、政権の政策遂行に国民が“白紙委任”をしたとも言える」と述べた。
また、52.66%という低投票率を、「自分が投票しても政治が変わらないと思っている有権者が多いのではないか」と述べ、比例代表並立制という選挙制度を、「沖縄は1区から4区まで立候補者9人が全員当選、福岡9区も3人が全員当選した。惜敗率が高いと比例で復活当選できるという信じられないことがまかりと通っている」と疑問を投げかけた。
安倍自民党の勝因を、「安倍総理は、孫子の兵法にある、『彼を知り己を知れば 百戦して危うからず』や『凡そ戦いは正を以て合い 奇を以て勝つ』という名言を生かした。総選挙で戦うときには、相手の情報を把握して戦争の準備をしつつ、対峙するときは正攻法で奇襲を以て勝利する、と実践した」
この衆院選に勝利した意義は大きいという。「安倍総理は、総理の大権である解散権を見事に行使してあと2年あった安定政権を、さらに4年も継続することを可能とした。解散すれば権力は強くなり、改造すればするほど政権は弱体化するとされるが、こうした政局の機微をよく心得ている。大政治家の仲間入りをしたともいえる」
安倍総理は、このあとの4年間で何をしようとしているのか。篠田氏は、今後の政治日程をにらみながら、「最優先はアベノミクスの進化、いわゆる『3本の矢』を完遂することだが、日中韓の関係を元通りにしたいと本気で考えている。来年1月中旬、日中首脳会談、日露首脳会談が行われる可能性がある。韓国の朴大統領は、かたくなで日韓の正常化は時間がかかる」
アベノミクスについては、「今のところ日銀の黒田東彦総裁が主導した2段階の金融緩和(黒田バズーカ砲)で大幅な円安に振れており、株価は急騰。日経平均は1万7800円台に上昇。その結果、企業業績は上昇して雇用も増加した。一方、中小企業は逆に苦しくなっている。2本目の財政出動は人手不足で思うように進んでおらず、3本目の成長戦略は不発のまま。人口減少、超高齢化社会の中で、日本は経済成長が出来るのか、このことが問われている」
講演後の質疑応答では、地方創生、拉致問題、来春の地方統一選などについて質問が相次いだ。来年初の都民塾は1月28日(水)に開催される。