*第32回都民塾のご報告

2015年10月20日(火)中央区築地本願寺講堂

第32回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成27年10月20日(火)午後7時から中央区の築地本願寺講堂で、東京の水辺のまちづくりを研究し提言活動を行っている元東京都観光部長の高松巌氏を招き「2020年 東京オリンピック・パラリンピックと舟運について」をテーマに開かれた。
 高松氏は、1971年、東京教育大学を卒業後、東京都庁に入る。都市計画局参事、港湾局臨海開発部長、産業労働局観光部長を経て2005年に退職。その後、東京都公園協会公益水辺事業部長経て、2014年から一般社団法人「まちふね みらい塾」代表理事を務める。
1946年、東京都中央区八丁堀に生まれた。「大学卒業のころ、都心の街から子どもが消えたのを疑問に思い、賑やかで活き活きとした街を再生したいと東京都庁に入りました。この気持はいまも持ち続けています」と話し出した。
「東京は水とともに発展してきました。世界の都市は、水辺を取り戻し美しい町が出来ています。東京はもっと水運を大事にすべき。ただ、水運は活用しつつ、先に鬼怒川の氾濫があったように水を恐れることを忘れてはいけない」
東京都と世界の主要都市との比較を「東京は、総合的地位は世界4位で、経済的地位は1位。しかし、交通基盤は10位で、地下鉄の運行の安全・定時制は世界一だが、交通結節の悪さ、自転車・舟運の未整備が大きな課題です」
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに触れ、「大会の意義は、『2040年代から俯瞰した都市の整備を考える』で、主な競技場、選手村は中央区を含めた東京ベイエリアに固まっており、交通結節の悪さ、自転車・舟運の未整備を解消するチャンスです」
 こう続けた。「今後、少子高齢化が進み、生産人口が減少し、都市の成長産業は観光になります。東京で遅れているのは、水辺に関する観光事業です。水上交通はフレキシブルでリーズナブルな交通インフラで、この整備が大切です」
 そこで、東京の新しい水上交通ルートを図を使って説明した。「羽田空港を起点に新橋、築地を結ぶルートに500人乗りの大型客船を運行させるのです。築地まで20分、その間、乗船した客の観る景色はワクワク感があります」
 具体的プランとして、築地地区を再開発して船着き場を建設、品川駅近くのJR新駅と水上交通の結節をあげた。「急増する羽田空港の需要に応えるだけではなく、築地再開発など既存の都市では出来ない都市の未来が実現できます。東京オリンピック・パラリンピックは、その絶好のチャンスです」とまとめた。
 質疑応答では、水辺の街でもある築地・晴海・月島地区の居住空間の在り方、大会後の選手村の活用法、メトロとの結節など数多くの質問が出た。高松氏はひとつひとつ丁寧に答えた。最後に、呼び掛け人の立石都議が都議会で永年在職議員表彰を受けたことが報告され、大きな拍手で偉業を祝福した。