*第33回都民塾のご報告

2015年11月19日(木)中央区築地本願寺講堂

第33回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成27年11月19日午後7時から中央区の築地本願寺講堂で、政治ジャーナリストの篠田 憲明氏を招いて「 安倍新体制とオリンピック・パラリンピック大会の行方 」をテーマに開かれた。


篠田氏は、昭和46年、早稲田大学政経学部政治学科卒業後、欧州留学を経て時事通信社に入社。政治部記者、香港支局長などを務める。政治部時代は、田中角栄番として活躍、現在、政治ジャーナリストとして講演等の活動を行っている。
篠田氏は、安倍新体制から話し出した。「9月に安保法制を成立させた後、新体制になって新三本の矢を打ち出したがパッとしない。2020年にGDP600兆円は容易くできるし、出生率1.8も目標はいいがピンとこない。アベノミクスも株価が上がり、企業が潤い、賃金が上がるというサイクルになっていない」


話は飛んで新聞・新聞記者論に。「最近の記者は、政治家と直接会わずにパソコン(ネット)でインタビューもする。1対1なら真実を語ることもあるが、ネット取材では答えはどの社も同じになる。新聞はおもしろくなくなり読者も減った。ネット万能は記者の分析力を奪った。分析のない新聞は価値がない」
安倍新体制の今後を語った。「中曽根さんは7年やった。2020年の東京五輪までやるかもしれない。1億総活躍社会を言い出したが、発想はいいが現実にできるのか。介護離職をなくすと言うが、海外の看護師らに頼らないと難しい。日本の介護プログラムを高校に導入したネパールに注目していいのではないか」
さらに、「介護費用は毎年、1兆円づつ増える。医療費削減だけでなく高齢者の活用も考えるべき。3年前の第一次安倍政権に比べ、いまは1強多弱で野党が弱すぎる。内閣支持率が不支持を上回っており、受け皿がない状況が続く」


経済問題にも触れ、「政府・日銀はGDP2%を目標にしているが、0.3~0.4%と景気低迷が続く。設備投資は伸びず雇用も増えない。補正予算で景気回復を狙っているが、新三本の矢でも難しい。東芝の不正問題、儲けるのは大企業のみというのでは企業もビジネスマンも日本の今後に不安を覚える」
日中問題にも言及。「中国は2041年の共産党結成100年、2049年の建国100年までに米国を抜きGDPで世界一を狙っている。いま、中国が怖がっているのは世界で孤立すること。このため、AIIB(アジアインフラ投資銀行)や第2のシルクロードを推進している。日本はアメリカと組んで対中政策を行うべきでない。中国を孤立させては駄目だ」


2020年の東京五輪については、「五輪は4年に1度、アテネでやればいい」の持論を披露したあと、「開催地になるための政治工作や高額な開催費用は問題だ。自然体で外国人を迎えるなど『なるほど日本だ』といわれるようなオリンピックにしてほしい」と語った。政治から経済、国際、そして五輪まで幅広く中身の濃いスピーチ。講演を終えた後、90人の出席者は大きな拍手を送った。