*第40回都民塾のご報告

2016年8月24日(木)中央区築地本願寺講堂

第40回都民塾(呼び掛け人 立石晴康東京都議会議員)が、平成28年8月24日午後7時から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。
          
講師の政治ジャーナリストの篠田憲明氏は、参院選結果や安倍首相や小池都知事の政治姿勢など多岐にわたって講演。この日は商社マンで米国駐在通算17年の大西健一氏が講演予定だったが、大西氏が急に体調を崩したため篠田氏が3度目の壇上に立った。
            
冒頭、立石都議が「本日、リオから五輪旗を持って小池都知事が帰国した。羽田空港の式典に招かれたが、4年後、わが東京が一致団結してスポーツの素晴らしさを世界に発信したい。東京オリンピックの成功を祈っている」と挨拶した。
 
篠田氏は、昭和46年、早大政経学部卒業後、時事通信社に入社。政治部記者、香港支局長などで活躍。現在、政治ジャーナリストとして活動している。
 
篠田氏は、参院選結果の話から入った。「32の1人区の議席は自民21、野党11で、前回の自民29、野党2と比べ、野党は数字上は勢力を挽回した。東北では野党統一候補が圧勝したが、これはTPPで騙されたJAの怒りが結集した」
 
「共産党の躍進がいわれたが、藤野保史政策委員長長の『人を殺す予算』発言が響き、5議席に留まった。選挙権を得た18歳の投票率は47%で、それまでの35%台を大きく上回った。英国のEU離脱では、20代の60%が残留に投票、若者が未来を決めた。日本の今後の政治に若者の声がどう反映していくか」
 
自民・公明の与党勢力が参院でも3分の2に。「安倍首相は改憲に意欲的だが、天皇の生前退位が飛び出した。皇室典範には生前退位の規定はなく、憲法学者の意見も分かれ、政治的にデリケートな問題。安倍政権の最大の課題となった」
 
小池都知事について。「これまで、いくつもの政党を渡り歩いてきた。風見鶏といわれるが、世の中の流れに逆らわず生きていく姿勢は見事。都連の推薦願いを取り消すなど政治センスもある。僕が小池氏の秘書なら小池新党を勧める。大阪、名古屋の首長は人気が落ちて小池人気にすがろうとしているくらいだ」
 
国際問題にも触れた。「EU離脱の英国は2度と立ち上がれないくらいの衝撃だ。ドイツのメルケル首相は難民問題で煮え切らない。仏は大統領選挙、イタリアは総選挙を控えるが現職勢は勝てない。米国の大統領選挙とともに関心事だ。中国は『100年計画』で世界NO.1を目指している。国境を接するロシアは日本に秋波を送り、対中国で連帯したいと考えている。しかし、北方領土では譲歩しまい。日本の外務省の4島返還は、『返さないよう』交渉しているようなものだ」
 
最後をこう締めくくった。「安倍首相がやるべきことは、政治マターでは天皇の生前退位問題で、政策マターでは一人暮らし老人問題など社会福祉の充実。宮内庁記者によると、天皇の発言は安倍首相の憲法改正に釘をさしたものだという。今、何が日本の課題なのか、安倍首相がいま、なすべきことは政策マターだ」
 
篠田氏は、参院選結果、国政や都政、国際問題などをユーモア交え1時間半にわたって講演した。出席者は最後まで熱心に聞き入っていた。