*第46回都民塾のご報告

2017年2月27日(月)中央区築地本願寺講堂

第46回都民塾(呼び掛け人 立石晴康東京都議会議員)が、平成29年2月27日午後7時から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。
          
今回は、ノンフィクション作家、平野久美子さんが「日本と台湾の絆を考えよう」をテーマに講演した。           
平野さんは、1950年東京都出身。学習院大学文学部仏文科卒業。出版社勤務を経て文筆家へ。アジアを多角的に取材し日本との関係性をテーマに作品を発表。「淡淡有情-日本人より日本人の物語」(小学館ノンフィクション大賞受賞)、「トオサンの桜散りゆく台湾の中の日本」、「テレサ・テンが見た夢」など著書多数。           
平野さんは、「いま、日本と台湾の関係はいままでの中で一番良い」と話し始めた。「2016年に日台を行き来した人は624万人を数え、自治体間の友好都市協定は70以上。中高校生の修学旅行の海外の行き先では台湾が1位で、米国、シンガポールと続く。日本の高校生らは日本統治の時代の建造物等を見学、これからのアジアを考えようと前向きです」
 
蔡英文総統について、「民進党の庶民的な政治家で、トランプ米大統領と電話会談するなど国際感覚もある。中国とはデリケートな関係だが、100万人が大陸に渡っており、これを維持して台湾らしさを保っていくのではないか」
国民党独裁政権時代に台湾住民の抵抗を弾圧した「2.28事件」に触れ、永遠のリーダーといわれた蒋介石像の撤去が一部地域で行われている」と述べた。
台湾の人たちがなぜ親日なのかを語った。「日本の文民統治がうまくいき、文民台湾の近代化の礎になった。日本への憧れも強い。私は、『湾生(ワンセイ)世代』と『多桑(トウサン)世代』の存在が大きい」と2つの世代を説明した。           
 
「湾生世代は、戦前の台湾で生まれ、日本のために戦った。多桑世代は、日本語教育を受けた世代。ともに、大陸から来た国民党支配の時代より、日本統治の時代がマシだと思っている。これがベースになり日台の絆が途絶えないでいる」
台湾の若者に触れて、「彼らの合言葉は『天然独&公民力』。台湾は生まれたときから独立している、独立は天然のものだと考えている。ひまわり運動のように、政治や社会に興味を持って参加するなど非常に前向きです」
 
続けて、「台湾の人たちの親日に甘えてはいけない。台湾の全体を俯瞰すると、歴史、政治、文化、そして人の心も複雑だ。日本人を尊敬しながらよく観察している。私たち日本人は台湾を知らなすぎる。同じ目線で見ないといけない」
講演後の質疑応答で、台湾の魅力を語った。「皆さんは台北を中心に出かけていると思います。私は台南や高雄など南部の観光を勧める。心も厚く、食べ物も景色もとても素晴らしい。南部の島部も魅力がいっぱいで、ぜひ出かけてほしい」           
 
平野さんは、㈳日本から台湾の世界遺産登録を応援する会の理事を務める。3月には中央公論新社から台湾世界遺産の本を刊行予定。今回の平野さんの台湾愛に満ちた講演に、出席者は大きな拍手を送った。