*第61回都民塾のご報告*

2018年8月9日

第61回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、平成30年8月9日午後6時半から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。


今回は、中国の思想家、孔子の78代目で、東日本国際大学非常勤講師の孔 暁キン(こう・ぎょうきん)さんを招いて、「トークと古筝(こそう)の演奏」の会を開催した。
 
孔さんは、2000年、中国東南大学法学部を卒業。04年、九州国際大学大学院法学研究科を修了。09年、早稲田大学大学院法学研究科に入学、14年、同大で法学博士を取得。著書に「中国 人民陪審員制度研究」(日本評論社)。
 
8歳から中国琴の古筝を習い始め、中国でコンクールに出場し多くの優秀賞を受賞。日本でも演奏会を行い、東洋の古典音楽の伝承・普及に尽力している。古筝は中国の伝統的なツィター属の撥弦楽器。孔さんは、トークから入った。


「今年4月、父親が日本に初めて来ました。上野公園の桜を見学中、隣の人と接触、中国語で『すいません』と言ったら、中国語で返事が返ってきたのにびっくりしていました。それほど中国からの観光客は増えています」とユーモア交じりに「知られざる在日中国人の実態」(週刊ダイヤモンド)を基に話した。
 
「観光庁によると、中国からの観光客は、2011年は104万人でしたが、17年は735万人、今年は6月までに405万人。在日中国人も帰化した人を含めると100万人で、職場や近所に中国人がいるというのが実態です」
 
孔さんは、2001年に日本に留学、04年から09年までドイツでコンサルティング会社に勤務。09年に再来日、通算、日本に20年間住んでいる。80年代から現在までの在日中国人の変わりようを自らの体験を交えて語った。


「80年代は、鄧小平の開放政策で日本留学がブームでした。90年代は、不法移民、2000年代は、働きながら学ぶ留学生のビザ不正が問題になるなど、中国人のイメージが悪かった。10年頃から日中の格差が縮まり変わりました」
 
「週刊ダイヤモンドは、現在の中国人留学生は、親がセカンドハウスに買ったタワマンに住み、流行に敏感で、有名大学に通っている、と書いていますが、それは一部で、日本の学生と同じようにバイトをして学んでいる留学生も多いです。私の学生時代と比べると、ハングリー精神が足りない気がします」
 
「今の中国の若者は、哈日族(ハーリーズー)が多い」という。Jポップやアニメなど日本の文化に熱狂する若者のこと。「彼らを含め日本が好きな中国人は増えています。観光客も増えるでしょう。私は、このような活動を通して、日中の民間交流に少しでもお役に立てばと思っています」と語り、トークを終えた。


トークのあと、古筝の演奏に移った。この日は、中国の代表的な演目の「漁舟唱晩」、「高山流水」、「戦台風」、「葬花吟」、「山丹丹花開紅艶艶」、「二泉映月」、「茉莉花」、「春江花月夜」を披露、最後に日本の「北国の春」を奏で、出席者全員で合唱した。古筝の剛くも優しい音色は、会場の築地本願寺の外にも響き渡った。出席者は、勉強にもなったトークと素敵な古筝の演奏に大満足だった。