*第69回都民塾のご報告*

2019年4月25日

第69回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、平成31年4月25日(木)午後6時半から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。
今回は、東京都産業労働局総務部長の坂本雅彦氏を招いて「東京都における商工業政策」について講演していただいた。
 
坂本氏は、昭和39年、神奈川県生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。平成2年、東京都庁に入庁し労働経済局(現産業労働局)に配属。
財務局主計部、総務局を経て、平成20年、産業労働局企画計理課長に就任、同商工部調整課長、総務部総務課長、産業労働局観光部長、同商工部長を歴任、今年4月から現職。
 
坂本氏は、「産業労働局の主な仕事は、中小企業の経営者支援と職場の労働者の雇用の後押し、それに観光産業や農業も入ります」と述べたあと、「安倍政権で景気はよくなったが、いまのシステムで経済を伸ばすのは難しいとして考えた」という『東京都中小企業振興ビジョン』(以下、振興ビジョン)について説明した。
 
「振興ビジョンは、10年スパンで考え、経営と労働サイドで構成される有識者会議で議論し、今年1月にまとまり発表しました。現状を分析、数値目標を作り、これを実現するための戦略を立てました。どう実行するか、をめぐり中小企業振興の条例を作りました」
 
中小企業を取り巻く環境とその変化について「東京の人口や経済規模は世界でも最大級で多様な産業が集まり、都市インフラがあるが、①グローバル化②ICT技術による変革③人口減少④複合的な要因など社会経済の変化がある」と述べて東京都が「目指すべき姿」を5つあげた。
 
➀持続可能性のある経営を実現②イノベーション創出や海外展開による力強い成長③世界有数の起業しやすい都市へと発展④小規模企業の活躍による地域力の向上⑤多様な人材が中小企業で活躍--と5つをあげ、『起業→事業の成長・発展→経営の安定・継続→更なる事業の成長・発展』という概念を述べ、「企業の基盤は地域と人材です」と強調した。
 
約10年後に達成すべき数値目標について▽都内の黒字企業の割合が50%超▽業績が成長している都内中小企業の割合が55%以上▽都内の開業率が12%などをあげた。
戦略については▽経営マネジメントの強化▽起業エコシステムの創造など5つをあげ、▽ICT化の推進▽オープンイノベーションの促進▽中小企業の海外展開への後押しなど戦略ごとの23の施策を詳しく説明した。
 
そして、「中小企業振興条例を踏まえ、都だけではなく中小企業、東京商工会議所とも連携して数値目標を達成すべく、施策の認知度の向上や提出書類の効率的な申請なども加味して中小企業の振興を全力で推進したい」と結んだ。
質疑応答では、出席者から出された行政の在り方や民泊、教育問題などの質問に対して、ひとつひとつ丁寧に答えていたのが印象に残った。