*第72回都民塾のご報告*

2019年7月18日

第72回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、令和元年7月18日(木)午後6時半から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。
今回は、自然環境学の学者でもある大和田一紘先生をお招きして、「豊かな自然環境と江戸野菜」をテーマに講演していただいた。
 
大和田先生は、1943年、青森県弘前市生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科修了。東京都自然環境保全審議会委員、東京都環境科学研究所研究員、中央大学、埼玉大学・法政大学などで講義。現在はNPO法人多摩住民自治研究所理事、環境NGOの自立をサポートするためにリーダーズ・ネパールの代理人を務める。『大和田流、自然観察のすすめ』など著書も多い。
「東京の自然」から話し始めた。「東京は東西90㌔、南北22㌔、ここに緑=森林はどのくらいあるか。都心は10%、立川は30%、全体で36%。都の水源地である奥多摩は自然が守られている。これは、明治後半に東京市長を務めた尾崎咢堂による東京の将来を見据えた自然保護に関わる政策のおかげでもある」
 
東京の獣(けもの)。「日本に生息する5種類のうち、ヒグマ以外のツキノワグマ、カモシカ、二ホン鹿、猪の4種類が生息する」。東京の地形について続けた。
「▽山地は、奥多摩は険しく水源林となっている。▽丘陵は、多摩丘陵など少ない▽台地は、武蔵野台地があり、▽平地は少ない。埋立地は、江東区、中央区、港区にあり、人口の伸びが大きい」。カタクリの花について話した。
「都に隣接する狭山丘陵は5市1町でカタクリの里になっている。昔は、カタクリの群生地は当たり前にあったが、現在は人の手が加わって維持されている」
東京の緯度や年平均気温について「東京の緯度は35~36度、年平均気温は14~15度。温帯林の南限(16度)と暖帯林の南限(21度)のせめぎ合っている位置にある」
 
東京の野菜や緑を説明。「滝野川ごぼう、練馬大根、亀戸大根、江戸川区小松川の小松菜、谷中ショウガなど江戸から明治にかけて食文化として育った野菜は多い。内藤新宿のカボチャ、目黒ノタケノコなどは大名屋敷でつくられ、将軍に献上されたりした。
また、大名屋敷から軍施設(代々木公園)や恩賜公園(浜離宮、六義園)になって緑が残った。東京には最低限の緑が残り、今後、建物の高度化と、どう調和していくかが課題になるだろう」
 
東京23区の「貯金」を解説した。「地方債の現在高(借金)から積立基金額(貯金合計)を引いた額を見ると、マイナスは貯金が多い区・市町村となる。千代田区は△1兆1373億円、中央区は△414億円というように金が有り余っている。あひる野市、東東京市などはプラスで、これが日本全体の姿に近い。住民は、この数字にもっと関心を持つべきだ」と述べた。
 
最後に、「23区の農業は、都市農業課のある練馬区、100%地下水の昭島市などが農業分野で頑張っている」と語り、この日のテーマをまとめた。