*第73回都民塾のご報告*

2019年8月27日

第73回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)は、令和元年8月27日(木)午後6時半から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。
今回は、ビジネスの第一線から宗教界に転じたユニークな経歴の築地本願寺宗務長、安永雄玄先生を招いて「人生100年時代の成功の条件」をテーマに講演してもらった。

 
安永先生は、慶應義塾大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院博士課程修了。三和銀行を経て、2006年から島本パートナーズ代表取締役社長。05年に得度、08年まで寶徳寺(港区)の副住職を務め、15年7月から、築地本願寺宗務長(代表役員)に就任。04年からグロービス経営大学院大学専任教授も務める。
 
ビジネス界から宗教界への転進について「人生を経営することと会社を経営することは同じで、目標、目的をどう立てていくか、にある。ビジネスマンから宗教者になったのは、人間の価値観が大事だと考えた」と述べた。
 

 
安永先生は、冒頭、「本日は、法話ではなく、生きていくうえの糧、人生哲学、仏教思想を噛み砕いてご紹介したい」と述べ、銀座で実施する『KOKOROアカデミー』や『築地本願寺倶楽部』、『合同墓』などご自身が始めた布教活動を紹介。
 
続いて、本題の「人生成功の5つの条件」に入った。大前提として、『主体的に自分の人生を生きる、と決断する』をあげ、「『人生は、いつ、突然に、死がやってくるかわからない』が3.11の教訓です。両親や家族、会社など他者のためだけに生きるのではありません。自分の主体性が必要です。」と述べた。
 
人生成功の5つの条件を具体例をあげながら説明した。条件①は『人生は思うようにならないと、諦める』。「人生からイヤなことをなくすことは絶対にできない(人生は『苦』である)という前提を認めることです」
 
②は『承認欲求を否定し、ありのままの自分(感情)を受け入れる』。「人生で起こる出来事にとらわれるのではなく自らのダークサイド(妬み、恨み、嫉妬など)を理解し受け容れることです」
 
③は『神仏や、先祖、両親、ご縁のある他者に常に感謝する』。「大いなる何か(仏様)に感謝することが、心の平安を与えてくれる。嫌いな人に対処するには、心の中で黙って『感謝』することが有効です」
 
④は『積極的に挑戦し、失敗する』。「いい失敗をする力は、『人生を変える』最強の原動力。成功は、今でもできること、今どこまで自分の能力があるかわかる。失敗は、今はできないが、改善余地と今後の大きな可能性があります」
 
⑤は『「一日一生」で毎日を生き切る、そして「あと5年の生き方」を貫く』。「実際に生きられるのは今だけ、幸せを感じられるのも今だけ。明日以降のことは誰にもわからない。何より今日ただいまを大事に生き切ることです」
 
講演の合間に、「明日死んでしまうとしたら後悔することは?」などの問いかけも行った。質疑応答では「主体的に生きるとは?」など多くの質問がでたが、丁寧にわかりやすく応えた。出席者は胸を打つ講演に大きな拍手を送った。