*第76回都民塾のご報告*

2019年11月26日

第76回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、令和元年11月26日(火)午後6時半から中央区の築地本願寺第一伝道会館内振風道場で開かれた。
 
江戸千家宗家川上不白より修業を受け、東日本橋で80年続く茶道教室の三代目である本山宗晴(もとやま そうせい)先生を講師にお招きし、「Let’s 茶の湯」をテーマに茶道体験を含む講演をしていただいた。
 
本山先生は、浜離宮恩賜庭園 芳梅亭、ロイヤルパークホテル源氏香 耕雲亭、久松小学校、日本橋小学校で茶道教師を務め、初心者や外国人のための茶道体験教室を行っている。
 
まず最初に本山先生は、「みなさんはお茶にどんなイメージを持っていますか」と会場に質問を投げかけた。お茶は「一杯の茶をおいしくいただく」ことが目的であり、日本では1300年ほど前の奈良時代からお茶を飲む習慣があった。
 
当時は、生姜や香辛料が入った高価なもので貴族の飲み物だったが、鎌倉時代に禅の教えとともに「茶」が薬として普及する。茶を一杯、二杯…ではなく一服、二服…と数えることはここからきている。
 
「茶を点てる」(お点前)という言葉も「点滴」と同じ「点」の字を使い、「少しで治る」という意味がある。禅の修行中、僧侶が睡魔と戦うため眠気覚ましとしても使われていた、など茶の歴史をやさしく紐解いてお話いただいた。
 
そして、今回は、会場正面に立礼式(りゅうれいしき)の茶室のセットが設えられた。「立礼式」とはテーブルと椅子を用いて茶を点てる椅子点前で、これは明治に開催された京都博覧会で外国の方が参加できるようにと始まったものであるとのこと。
 
お話に一区切りついたところで、本山先生の教室の方々にもご協力いただき、参加者全員にお茶とお菓子が振る舞われたあと、希望者は茶道体験に参加した。
 
同時に会場からの質問も募り、「なぜ器を回すのか?」という立石先生からの質問に始まり、「畳のへりを踏んではいけない理由とは?」「今日の掛け軸の意味は?」「家でお茶を点てる際のポイント」「左ききの人はどうしたらいいですか?」など多くの疑問や質問にわかりやすく答えていただいた。
 
体験者の方々には、「姿勢が何より大事です。背筋が伸びているだけで所作が美しく見えますよ」「どの動作でも使っていない手の位置が大切」など要所要所でアドバイス。体験者は自分で点てたお茶を自分でいただいたが、そういった場合は、「点て損じました」「不加減でございました」など謙遜の言葉を伝えるそうだ。今回の体験会では、女性だけでなく男性陣や武者小路千家の方々も参加された。
 
いつもの都民塾とは会場が異なり畳敷きの振風道場で行われた今回の講演。その会場を素敵な茶室にしてくださった本山先生に、会場から大きな拍手が送られ、「退席」となった。