都民塾

都民塾だより No.18

 第18回都民塾が、平成26年5月29日(木)午後7時から、東京・中央区の築地本願寺2階講堂で開かれた。この日は、(株)NTTデータ経営研究所取締役の唐木重典さんが「地域のブランド力について」について講演、90人の参加者が熱心に耳を傾けた。

 唐木さんは、大阪市出身。関西大学法学部卒業後、1983.4日本電信電話公社(現NTT)入社、2005.10同e-コミュニティ事業部をへて現職へ。2012.4から金沢工業大学客員教授も勤める。中央区に20年以上住み、「人情豊かで歴史と伝統のある中央区を愛している」と話す。

 唐木さんは、最初にブランドについて説明。「牛の焼印が発祥で、印を見ただけで、この商品は信用でくるので高く売れるとなった。かつてブランドは、老舗や舶来品だったが、いま日本の商品になった。家電でもフィリップスからソニーになった。そのソニーも苦しいように、時代とともに変わる。

 現在のブランドの価値は、家電製品や車に象徴されるように、『デザイン』、先進性』、『グローバル』だが、これからは、消費者の感性が上がり、「皆と同じものを持つ」、「自分だけ持っている」という価値観から、もうひとつの価値観が台頭、『安心』、『社会貢献度』、『創造性』といったものになる」

 続いて、本題に移った。「地域のブランドは、かつては人がたくさん集まるところだったが、いまは規模や量でなくイメージといった内面的なものになった。産地では関さば、大間のマグロ、松坂牛、本場信仰でファッションのパリ、金融のニューヨーク、スイスの山岳観光、知見の集約では、ショービジネスのブロードウェイ、ITのシリコンバレー、京都の仏教研究などが挙げられる。

 『世界で最も暮らしやすい都市ランク』では、①メルボルン、②ウィーン、③バンクーバーで、大阪が14位、東京は18位、ロンドン55位、ニューヨーク(NY)56位だった。『日本全国住みよさランク』では、①千葉・印西市、②石川・野々市市、③茨城・守谷市で、『いつか住みたい都市』では、①東京、②ロンドン、③NYだった。

 世界の都市の総合ランクでは、①ロンドン、②NY、③パリ、④東京、⑤シンガポール。分野別にみると、経済では、①東京、②NY、研究開発では、①NY、②東京、文化交流では、①ロンドン、②NY、居住では、①パリ、②ウィーン、環境では、①東京、②ストックホルム、交通では、ロンドン、②パリ。

 すべて1位になる必要はない。東京の魅力は、安全、食、文化、四季、新しさと歴史など外国人も驚くくらいだ。目標を決めて都市政策にするのが肝要。知恵を、どうビジネスにするか、が大事。

 『住民満足度(東京)』では、①武蔵野市、②千代田区、③中央区。『継続居住意向』では、①中央区、②武蔵野市、③文京区。中央区が、今住んでいる人がずっと住みたい街でトップだったことは、プライドを持っていい。地域がブランド化するには、①安全な街②おいしく健康的な食文化③ユニークでこだわりの文化・流行④四季が作り出す歴史と伝統⑤過去と先端が共生する街-にかかっている。

 東京、中央区も2035年には人口減少社会が訪れる。横並び発想から脱却、成功例を分析、住民やサポーターの力を活用するなどして、東京、中央区が世界一と誰からも認められるよう、皆さんの知恵と汗と感性を結集しましょう。きっと実現します」

 このほか、「外国人観光客の日本での印象は?」、「外国人観光客が日本で困ったことは?」や、地域ブランドの取り組み例(千葉市で実験した「どこでもMY病院」、北海道伊達市、長野県飯田市)を紹介。質疑応答では、住みよい街と固定資産税や、街の活性化と街の安全などをめぐって唐木さんと参加者との間で活発に行われた。

戻る