都民塾

都民塾だより No.19

 第19回都民塾が、平成26年6月26日(木)午後6時30分から、東京・中央区の築地本願寺2階講堂で、「集団的自衛権と日米関係」をテーマに、産経新聞論説委員の湯浅博さんを迎えて開催、80人の参加者は熱心に耳を傾けた。

 湯浅さんは、1948年、東京都生まれ。中央大学法学部卒、プリンストン大学修了。産経新聞入社後に千葉支局、政治部、経済部を経てワシントン特派員、外信部次長、ワシントン支局長、シンガポール支局長を歴任した。

 湯浅さんは、2001年、自衛隊を派遣したアフガニスタン紛争での取材から話し出した。「現地カブールに当時の山崎自民党幹事長が来ていました。パキスタンのムシャラク大統領から難民収容所に日本女性がいるので日本の自衛隊に難民を守ってほしい、と要請されたが『戦闘地域に自衛隊は行けない』と述べた。

 ムシャラク大統領は『戦闘地域に行けない軍隊があるのか、集団自衛権が使えない憲法があるとは…』と世界の常識と日本の非常識を語っていた」

 続いて、日米関係について話した。「60年代、当時の社会党は日米安保条約があるから戦争に巻き込まれる、と主張したが、日米安保のおかげで中国も日本に手を出さなかった。オバマ大統領になってアメリカは世界の警察、でなくなった。東アジアの防衛は日本に肩代わりしてもらいたいというのが本音だ。

 2025年には軍事費で中国がアメリカを抜く。これからは、日米という2カ国の同盟でなく、世界中を網の目のように張り巡らした同盟が必要になる。集団的自衛権がないと困る事態が起こる。集団的自衛権は国連憲章にも書いてあり、国際法上認められている。これが行使できないのは、どう考えてもおかしい」

 集団的自衛権に関するマスコミ報道や国会論議などにも触れた。「朝日新聞は『戦争ができる国』になる、と書いているが、これは社会党のキャッチフレーズ。朝日は文化人を動員して反対論を展開しているが、みな60年安保を知らない。

 自民党と公明党の与党協議は、小田原評定で、公明党は、いろんな条件を付けているが、これでは、自衛隊は六法全書を広げながら集団的自衛に臨むことになってしまう。条件を付けすぎることに懸念を持つ」

 最後に、「要諦は、巨大になった中国に対して、日米で戦争が起きないようにするにはどうすべきか、だ。東シナ海などが戦闘状態になったとき、①食料や弾薬の補給②ペルシャ湾のタンカー防衛③尖閣への上陸・占拠④100隻を超す漁船の進入⑤北朝鮮のミサイル発射など、日米でガイドラインをつくる必要に迫られている。その観点からも集団的自衛権の行使容認は必要だ」

 質疑応答では、「集団的自衛権の行使は内閣でなく国会で決めるべき。議員立法で基本法をつくって通せばいい」という主張や、「立石先生は、よく『川に堤防、海に防波堤、国に国防』といっていますが、これに尽きます」という意見が出るなど大いに盛り上がった。

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