都民塾

都民塾だより No.28

 第28回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成27年5月14日午後7時から中央区の築地本願寺講堂で、明治大学政経学部准教授の飯田泰之先生を招いて開かれた。テーマは、「 2015年の日本経済と経済成長 」。

 飯田先生は、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得。内閣府経済社会総合研究所客員研究員、駒澤大学経済学部専任講師・准教授を経て明治大学政治経済学部准教授。専門分野は、経済政策・マクロ経済学。

 飯田先生は第7回都民塾(平成25年5月30日)で、アベノミクスについて講演。この日は「アベノミクススタートから2年半経て、日本経済はどう変化したか、いまの日本経済の状況、これから成長するにはどうすべきか」と語り出した。

 現在、景気は良いのか?悪いのか?「役所出身のエコノミストの相対的評価と大学の教員の絶対的評価で、アベノミクス評価は変わる。絶対的評価の立場からは株価、為替に関しては及第点をあげられる」と、2012年に比べ上がっている為替と株価を数字で示すなど、わかりやすいと出席者には好評だった。

 雇用面で、2007年の「イザナミ景気」(小泉首相時代)と現在(2014年)の景気との違いを「07年は、雇用は輸出で好調のトヨタのある東海地区や東京はよかったが、北海道など地方に及ばなかった。2014年は、東京、東海が引っ張り、地方に及びバラつきがない」

 「07年の景気は、製造業など大企業が支えた。現在の景気を牽引するのは、観光とサービス業。収入にも地域差がなく、大企業だけでなく中小企業も潤った。関西のホテルは、今夏は高い部屋から埋まっている」

 難しい「経済政策の原則」についても、平易に解説してくれた。「現実の経済は需要と供給の小さい方で決まる」とし、「短期(3か月程度)には、即効性のある財政政策が必要。中期(3~7年)には金融緩和による雇用の維持、長期には、生産性を向上させる成長政策が求められる」

 いま必要なのは需要対策だという。「2014年4月の消費増税で消費需要に陰りが見え始めた。本当の原因は、日本経済の潜在能力を見誤った。成長戦略とそのサポートとしての金融緩和が必要だ。成長戦略には、2つ(ターゲット戦略と自由化規制緩和)あるが、どちらかに決めるべきだ」

 関心の高い「人口減少悲観論」については、「人出不足は経済成長になる」と、こう述べた。「1%の人口減少で経済成長率低下効果は0.65%。重要なのは、一人あたりの所得で、女性、高齢者の活用は労働参加率向上につながる。ロボット技術などの活用は省力化投資を促す」

 「集まることによる成長も大事、アイデアの力で、いままで体験したことのないサービスが生まれる。短中期と長期の経済政策を組み合わせれば、日本は成長できる」と最後をまとめた。講演後、飯田先生と出席者の間で、熱のこもった質疑応答が行われた。

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