都民塾

都民塾だより No.35

 第35回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成28年1月26日午後7時から中央区の築地本願寺講堂で、早大比較法研究所招聘研究員で、中国の偉大な思想家、孔子の78代目にあたる孔 暁キンさんを招いて「音楽が結ぶ中国と日本の国民の心」をテーマに古筝(こそう)の演奏会を開いた。

 孔さんは、中国生まれ、2009年に早稲田大学大学院に留学、法学研究科修了、法学博士。8歳から中国民族楽器の古筝を習い始め、コンクールで多くの賞を受賞。現在、専門の中国法など法学研究を続けながら、日中の文化交流、古典音楽の伝承・普及に努めている。

 最初に「漁舟唱晩」を演奏。日暮れの時、豊漁で家路につく風景を音で表現している。日本の琴と大きさは変わらないが、音色はチターや大正琴のよう。流麗なメロディーを奏でるが迫力がある。水面を小舟に乗った漁師が豊漁を喜んでいる風景が浮かんでくる。

 「古筝は中国の伝統的な楽器で、弦の本数は5本から始まり、12,13、18、19、21、23、29本と時代を重ねるごとに増えました。現在では、21本が代表的で、金属弦を用い、右手の指にはめた義爪で弦をはじいて演奏します」と説明しながら華麗な演奏。

 続いて演奏したのは、雄大な山と水の自然をゆったり流れるように表現した「高山流水」、台風に立ち向かう労働者の姿が目の前に現れるような「戦台風」、花が散って涙を流すという小説『紅楼夢』の中にも出てくるという「葬花吟」。

 「戦台風は、現代中国古筝の第一人者である王昌元氏が作曲した現代筝曲です。王昌元氏は、大自然の猛威である台風と戦う労働者たちの強靭な精神を、古筝に託してうたいあげています。前半は激しい台風、後半は台風の去った後の景色を表現しています」

 「山丹丹花開紅艶艶」は、有名な峡北民謡を編曲した現代筝曲、「二泉映月」は、孔さんが一番大切にしている曲、「茉莉花(ジャスミン)」は、中国の有名な民謡、と説明を加えながら弾いた。琵琶の名曲で9分間もある「春江花月夜」は、譜面も見ずに演奏しきった

 「私は、8歳から古筝を習いましたが、専門家ではありません。現在、古筝の演奏家となってアメリカで活躍している従姉には歯が立ちませんでした。両親の勧めもあって大学で法律を学び、古筝は趣味で、知り合いなどから頼まれて演奏会を行っています」

 最後は、日本の人気楽曲である「白樺 青空 南風 こぶし咲く…」の「北国の春」と「泣きなさい、笑いなさい…」の「花」を演奏して会場を沸かせた。出席者のなかには、曲に合わせて体を揺らせながら熱心に聞き入る姿もあった。

 演奏の後、出席者からは、「孔さんの楽曲説明を聞きながら初めて古筝を聞いたが、その情景が浮かんできて感動した」、「中国の曲も、日本の曲も同じように聞いた。音楽には国境がないことを実感した」などの感想が聞かれた。講演(演奏)を終えた孔さんには、会場から割れんばかりの拍手が送られた。

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