都民塾

都民塾だより No.36

 第36回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成28年2月18日(木)午後7時から中央区の築地本願寺講堂で、環境問題の専門家である有留武司氏を招いて「地球がピンチ!地球温暖化は最も深刻な環境問題」をテーマに開かれた。

 有留さんは、1950年、中央区築地生まれ。築地本願寺が遊び場だった。1974年、早稲田大学政治経済学部卒、同年、東京都庁に入庁、福祉局障害福祉部長などを経て、2010年、環境局長で都を退職。(株)ゆりかもめ社長のあと、現在、東京エコサービス(株)顧問。

 最初に、東京都の行政などについて解説。「東京都は人口、産業が集中、都市問題が顕在化。課題解決のため先駆的施策を推進してきた」と、その理由として①国は全国一律の基準で法制度を策定するのでスピードが遅い②地方交付税を一度も受けておらず、国の財政的”恫喝”は通用しない、さらに、都民の権利意識の高さ、都議会との二元代表を挙げた。

 歴代知事の業績や東京都の財政状況を述べた後、「東京都の先駆的施策」の実例として①国の認可保育所に先立って独自の認証保育所制度を創設(平成13年度)②ホームレス自立支援制度の創設(同)③「東京から日本を変える」典型的施策として、都条例改正で実現したディーゼル車規制―を挙げた。

 ここで、本論の環境問題に入った。「200年前まではCO2の濃度は安定していたが、産業革命以降、化石燃料(石油、石炭等)の大量消費で上昇。地球の平均気温はわずか130年で0.85度C上昇した」と地球温暖化のメカニズムから説明した。

 地球温暖化の怖さを、①2100年までに平均気温が最小1.1度~最大4.8度上昇②氷河等の氷解で海面が最大82センチ上昇、膨大な土地が水没③乾燥化等で農業生産高が減少、世界的な食糧危機④2050年頃から年間36兆円の経済的損出―などを指摘。

 東京都の気候変動対策を説明。「都の温室効果ガス(CO2)削減目標は、2020年までに2000年比25%削減」とし、「大規模事業所には、削減分が足りなければ他の事業所から金銭で購入するなど罰則を伴った世界初の都市型排出総量削減制度を導入した」

 この都のCO2都市型排出総量削減制度に経済界は猛反発したという。「世論が味方し、議会が支持してくれた。石原知事も『削減義務ややるべきだ。摩擦があろうが、ぶつかってもかまわない。急げ』と姿勢が揺るがなかったのも支えになりました」

 続いて、中小規模事業所への省エネ対策の支援や家庭での省エネ対策の支援、世界のCO2排出量削減の取り組みである京都議定書(COP3)とパリ協定(COP21)を詳細に解説。

 「地球温暖化対策は、環境だけでなく産業構造、経済成長、エネルギー政策、国民生活に大きな影響をもたらします。情報を公開、共有して広く国民的議論が必要。子や孫のため持続可能な地球を残すことが我々の責務だと思います」と締めくくった。難解な問題も有留さんのわかりやすく丁寧ない解説に、出席者は最後まで熱心に耳を傾けた。

戻る