都民塾

都民塾だより No.37

 第37回都民塾(呼び掛け人 立石晴康・東京都議会議員)が、平成28年5月26日(木)午後7時から中央区の築地本願寺講堂で、法重寺ご住職の南條了元先生を招いて「講話」をお聞きした。

 南條先生は、学習院大学文学部史学科を卒業後、中央仏教学院で学ぶ。西本願寺北米開教開教使として渡米、のちに千代田女学園理事長を経て現在、村松山法重寺のご住職。日本各地や中国、インドなどで布教活動にも傾注されている。

 南條先生は、浄土真宗の親鸞聖人の「他力本願」から話された。「親鸞聖人は、『他力と言うは如来の本願力なり』と言っています。如来は、阿弥陀如来のことですから、阿弥陀如来の本願力のみ他力です。阿弥陀如来の他力、本願力によって私たちは救われるのです」

 毎年訪れる中国の親鸞聖人ゆかりの寺院での体験談などの後、今年1月、奈良を訪れたときの話になった。「博物館を出ると、鹿が2匹走ってきて僕に近づきお辞儀した。浄土真宗の門徒だというご婦人は『初めて見ました』と驚き、『仏様が鹿にメッセージを送ってお辞儀したのだ』と言いました」

 北海道でも似た体験をした。「6,7年前になるが、長万部周辺を歩いていると、2羽の鳥が降りてきて僕にまとわりつき、近くの駅までついてきて、僕にお辞儀をした。地元の人は『あなたは上野動物園の人か』と驚いていた」

 鹿と鳥の話題から、こう話を導いた。「仏様が鹿や鳥を通じてメッセージを送ったのです。彼岸(ひがん)は、涅槃・さとりの世界で、此岸(しがん)は、私たちの生きている娑婆の世界。此岸から彼岸に行くとき、仏様の他力、本願力が現れます。人間の命は限りがあるが、仏様になれば命は永遠です」

 ここで、子どもの話になった。「京都で、地下鉄に乗ったら子どもが抱きついてきた。子どもの親は『あなたは幼稚園の先生か』と言った。この2月に15人の僧侶とともにインドへ行った。僕が沢田研二のモノマネをすると子どもが寄ってきて抱きついたりしたが、僕だけだった」

 阿弥陀如来が建てられた願に「四十八願」がある。これを「AKB48」につなげた。「Aは阿弥陀さま、Kは救済、Bは仏になる、の頭文字。AKBのプロデューサー、秋元康はAKBは秋葉原から取ったというが違う」とこう続けた。

 「秋元康は浄土真宗の信徒で、彼の菩提寺の住職が『秋元さんは、講話などは聞かないが、お墓参りは欠かしません』と言っていた。僕が、仏様がメッセージを送ってAKB48ができたと菩提寺の住職に言うと、頷いていた」

 「皆さんは、気が付かないかもしれませんが、奈良の鹿、子どもたちの動作のように仏様からのメッセージはあるのです。人間の命には限りがある、一日一日を大切に、と言っているのです」。こう締めくくり、大きな拍手が巻き起こった。

 この日は、都民塾の講演録「都民塾への招待」の編集室からの出版の報告もあったが、出席者は最後まで熱心に耳を傾けていた。

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