都民塾

都民塾だより No.43

 第43回都民塾(呼び掛け人 立石晴康東京都議会議員)が、平成28年11月24日(木)午後7時から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。

 今回は、産経新聞社会部の現役記者の道丸摩耶さんが「健康長寿社会と2035年問題 ~介護や医療の近未来を予想~」をテーマに講演した。

 道丸さんは、1977年生まれ、東京都出身。聖心女子大卒業後、2000年に産経新聞社入社。事件や医療、介護、演劇などを取材し、現在は社会部厚生労働省担当。浜松医科大非常勤講師(医療報道)。

 道丸さんは「社会保障制度、医療・介護、年金などは公平か不公平か、みなさんの意見を伺い、自分の取材に役立つように話をしたいと思います」と語り出した。少子高齢化の現状から入った。日本の人口は2010年1億2800万人→2030年1億1662万人(推計)→2048年9913万人(同)→2060年8674万人(同)。「昨年の調査で始めて人口減になったことが今年わかった。人口減社会に突入したといっていい」

 人口減は悪いことなのか?「数ではなく、年齢の分布が問題です。50年後の2060年には生産年齢人口(15~64歳)は45.9%減少し、高齢者(65歳以上)は2948万人から3464万人と17.5%増えます。東京は高齢化が進むのは遅い」。差し迫る『2025問題』を説明した。「団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になり、医療や介護など社会保障費が増大する問題です。①認知症患者が700万人と5人に1人になる②独居の高齢者が男性218万人、女性451万人と増加③75歳以上の人口が都市部(埼玉、千葉、神奈川など)で増加-などが課題です」

 続いて、道丸さんは出席者に質問する形で9年後の2025問題を解説した。「2025年、あなたは何歳ですか?」と質問したうえで、出席者が2025年に「要介護」になっている可能性を▽65~69歳3%▽70~74歳6%▽75~79歳14%▽80~84歳29%▽85~89歳50%▽90~95歳71%▽95歳以上84%と述べた。

 質問形式では、「あなたはどこで死にたいか?自宅か病院・施設か」、「あなたの理想の死因は?」などリアルな問いかけもあったが、ひとつひとつ丁寧に説明してくれた。

 2025年の医療のポイントとして①望む医療が受けられるか②使いたい薬が使えるか③救急車を呼ぶか、呼ばないか、介護のポイントを①外国人の介護労働者が増えるか②ロボット介護はあるか③介護保険制度は公平か-などをあげた。

 最後に、「老後を笑顔で迎えるための処方箋」を紹介。「①次世代を支える担い手になろう、理想は『近居・育孫』です②社会保障は公平じゃないと認識しよう。”逃げ切り”と高齢者は批判され、世代間対立をあおる愚からの脱却③『健康』に長生きしよう。『歩く』効果はあなどれない④遺される者の気持ちを考えて、延命を望むか、どこまでの医療を求めるかなど、自分の迎えたい最期をイメージし、それを伝えておこう」。質疑応答は医療専門家の発言もあり盛り上がった。

 この日は冒頭、商社マンとして米国生活が長かった都民塾の常連の大西健一さんが米大統領選挙を現地で見聞してきた様子をまとめたレポートを配布して解説した。

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