都民塾

都民塾だより No.45

 第45回都民塾(呼び掛け人 立石晴康東京都議会議員)が、平成29年1月24日(火)午後7時から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。

 今回は、首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス・TX)常務、遠藤正宏さんが「高齢社会を生き抜く首都東京の都市づくり~つくばエクスプレスと勝どき・晴海選手村へ~」をテーマに講演した。

 遠藤さんは、昭和29年札幌市生まれ。早大大学院修了後、昭和54年東京都入都政策報道室副参事、都市計画局都市整備担当課長、交通企画課長、知事本局参事、市街地整備部長などを歴任し平成26年交通局を最後に都を退職した。

 遠藤さんは、「健康づくりは街づくりから」として、「東京都の人口のピークは2025年で、そこから減少する。2060年は、現役世代1.7人で1人の高齢者(65歳以上)を支える時代になる」と話し始めた。

 この高齢社会を楽しく生き抜くには①健康であること、自動車に頼らず歩くこと②歩いて楽しい街をつくる、公共交通を使いやすくすること-と話した。

 「これからの首都東京の都市づくり」は①国際競争の時代、都市づくりに新たに「健康」の視点を加える②鉄道が東京の発展を支えてきた。郊外開発から都市再整備の時代になる③▽鉄道の利便性・サービス更なる向上▽鉄道とバス、地下鉄サービスの一元化など使い勝手を良くする▽BRTなど補完する交通手段の利用という交通政策が欠かせない-と3つの視点をあげた。

 交通政策審議会が2016年に15年ぶりに答申した「東京圏の都市鉄道が目指すべき姿」では、24本の鉄道ネットワークプロジェクトを紹介。このなかで、中央区も関わる「都心・臨海地域地下鉄と常磐新線延伸の一体整備」の説明は、地元の身近な問題とあって出席者の多くが熱心に耳を傾けていた。

 遠藤さんは、地図を示したうえで、「都心・臨海地域地下鉄は、中央区が調査を行い、初めて今回の答申に盛り込まれた。常磐新線延伸は、東京~秋葉原間は丸の内側を念頭に置いたが実現に至らなかった。今回の一体整備は、都心・臨海地域地下鉄を伸ばし、東京駅(日本橋・八重洲側)でTXと接続する」と述べた。

 一体整備の今後の見通しについては、「この一体整備は、需要やB/Cは格段に向上し、社会経済的メリットが大きく、国は、東京都等において、事業計画の検討が行われることを期待したい」と力を込めて語った。

 最後に、「つくばエクスプレス・TX」について、「2005年に沿線開発と鉄道整備を一体的に推進する目的で開業。利用者は1日35万人、開業から5年で経常黒字を達成。沿線のブランドとして流山おおたかの森駅、柏の葉キャンパス駅がある。両駅とも1日当たりの乗車人員が3倍近く伸びた」と紹介した。

 講演後の質疑応答では、遠藤さんは、鉄道と成田・羽田空港との連携、一体化整備の主体といった専門的な問題にも丁寧に答えてくれた。

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