都民塾

都民塾だより No.53

 第53回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、平成29年11月21日(火)午後7時から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。

 今回は、朝日新聞政治部OB、ジャーナリスト、今西光男先生を招いて、「総選挙と政局」をテーマに開いた。

 今西さんは、東京大学法学部卒業。71年朝日新聞社に入社。大津、京都両支局、大阪社会部、東京政治部、東京政治部次長、総合研究本部主任研究員などを経て、2008年1月定年退職。法政大学法学部講師、「メディアウォッチ100」代表。

 今西さんは、10.22の総選挙結果から話し出した。「自民党の勝因は、①小池氏の排除発言・野党分断②北朝鮮脅威の追い風③凪(なぎ)状態の経済雇用情勢④18歳まで選挙権拡大-などにある。18,19歳は安倍支持で、とくに、18歳には団塊世代の退場やAI活用など雇用情勢が好転したのが効いた」  

 総選挙中、各党トップの投票日前日の演説を聞きに行った。「自民・安倍、希望・小池、公明・山口、共産・志位は、街宣車の上から聴衆に訴えたが、立憲民主の枝野は、ビールケースの上、聴衆と同じ視線で訴えた。ニコニコ動画を利用した自民・安倍に対し、ツイッター・ユーチューブを使った立憲・枝野と対照的だった。

 総選挙を総括して、「安倍硬い支持2割・緩い支持1割と反安倍2割・棄権2割で、3割の浮動票・無党派層が帰趨を決める構図は変わらなかった。政党のねらいは、希望の党が象徴的だがバッジを確保して政党助成金をいかに取るかだった」

 「また、各党の支援組織も弱体化している。自民の農協、医師会は言われてきたが、今回、創価学会も公明党の当選者を減らした。連合も支持が希望、立憲と割れた。票が読めなくなったし、風頼りというブームは続くのだろうか」

 希望・小池氏については、「小池氏の得票数をみると、16年の都知事選が291万票、17年7月の都議選が188万票、今回の総選挙(都内)が103万票と下降線をたどった。都知事選がピークで、小池ブームは終わった。都議会も公明が与党から外れたし、都民ファーストも雲散霧消するかもしれない」

 安倍政権については、「総選挙中の演説に迫力がなく有権者も聞いていなかった。先日の所信表明演説も棒読みで短く中身もスカスカで疲労感が漂っていた。自民は支持するが安倍さんは?という感じで、党と内閣の乖離が始まったといえる。毎日新聞の最新世論調査で、来年9月の総裁選で安倍3選を聞いたところ、50%が「安倍3選ノー」だった。国民は永田町より先に行っている」

 安倍政権の今後を、「官邸が疲労困憊状態。人事は凍結、経産省や警察庁出身の秘書官・副長官ラインによる情報操作で官僚組織もスカスカ。ポスト安倍、ポスト黒田、ポスト菅もいない。安倍1強批判が石破、野田聖子に続き小泉進次郎からも出た。天皇の退位という大きな問題も控えており、来年になると(政治は)変わる、とだけはいえる」

 講演後の質疑応答では、安倍政権と日露・日中関係の質問もでたが今西さんは、独自の情報をもとに丁寧に答えた。(一部敬称略)

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