都民塾

都民塾だより No.58

 第58回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、平成30年4月19日午後6時半から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。

 今回は元東京入国管理局長で移民政策研究所所長の坂中英徳氏を招いて、「地方創生による『観光立国』を実現!2020年東京オリンピックを『移民元年』に」をテーマに開催した。

 都民塾の常連で村上水軍末裔、リスクマネジメントの専門家の村上伊作さんが、友人の坂中さんを紹介した。

 坂中さんは、1945年生まれ。1970年、慶應大学大学院法学研究科修士課程修了後、法務省に入省。同省在職時から現在まで、人口減少社会の移民政策の在り方など一貫して移民政策の立案に取り組む。

 「今年は、開国150年になる。開国で日本を世界に開いたが、外国人を入れることは無かった。外国人がいなくても国や社会の運営ができたからだ。奈良、平安、鎌倉時代は中国などから多くの異なる民族がやってきた」と話し出した。

 続いて、超高齢・少子化社会到来を「2060年には人口は4000万人減る。50年後は、子ども(14歳以下)1人に対し60歳以上の大人5.5人になる。これに対応可能な社会インフラ確立のため今後50年間に1000万人の移民を受け入れる必要がある」と『日本型移民国家』の確立を訴えた。 世界の移民政策について「トランプ米大統領の移民排斥、英国、フランスなどのイスラム難民に対する反移民ムードによる右翼政党の台頭などの動きがある。背景に白人至上主義やキリスト至上主義があるが、日本はどうあるべきか」

 「平成は、天皇が困った人に声をかけるなど国民と共にあり、いい時代だった。来年2019年は年号が変わる。世の中が変わる、変わらないと駄目だ。翌2020年は東京五輪、これに向けて移民国家宣言を行うべきだ。人種差別の時代に逆行させてはいけない、日本人が先導して近未来の新世界秩序を創るのです」

 「日本へ来る移民は、日本語を勉強し、文化を学び、皇室を理解する。これまでの移民鎖国国家という日本のイメージを変えないといけません」と強調した。

 講演後に相次いだ鋭い質問に、坂中さんは、「私の移民政策は、人口減に対応する量と共に質も大事です。多様性に富んだ異なる価値観を持つ人材を入れて日本人を変えるという質の面です」、「移民国家宣言に対しては、政財界及び腰で、世論も一枚岩ではなく難しい問題もある。日本にとって未知の世界に入るわけだが、国民みんなで議論して実現しなければならない」などと応えた。

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