都民塾

都民塾だより No.62

 第62回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、平成30年9月4日午後7時から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。

 今回は森友学園・加計学園問題を追及、菅官房長官への鋭い質問などで知られる東京新聞社会部記者、望月衣塑子さんを招き、社会部記者の仕事などについて語ってもらった。

 望月さんは、1975年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、東京・中日新聞に入社。千葉、神奈川、埼玉の各県警、東京地検特捜部で事件を中心に取材。森友学園・加計学園問題の取材チームの一員として活躍。菅官房長官の会見では質問を続行中。著書に、「新聞記者」(角川新書)、「武器輸出と日本企業」(角川新書)等。

 「名前の衣塑子(いそこ)の塑は、母が詩人の萩原朔太郎にちなみ、『何かを作る人、ものを創造していく人になってほしい』とつけたそうです」と話し出した。

 東京地検特捜部と担当した2004年の日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の一連の事実をスクープし、自民党と医療業界の利権構造を暴く。「あのころの検事は、権力・政権に切り込もうという気概があった。最近の森友問題などの捜査を見ていると、特捜部不要論が起きかねない」

 その後、経済部記者、社会部遊軍記者として、防衛省の武器輸出、軍学共同などをテーマに取材。「武器輸出の取材では、防衛庁から『あんな記事書きやがって』と、防衛産業の幹部からは『望月さんには、答えないように言われている』などといった妨害を受けました」

 そして、あるべき新聞記者像について語った。「自分のテーマを見つけて取材し、権力が隠そうとすることを明るみに出すことです」

 森友問題。「朝日新聞のスクープから始まり、東京新聞も取材チームを結成、その一員になりました。森友文書改ざんでは、『首相』『昭恵夫人』『平沼・鴻池議員』の名前が削除され、民主主義の根幹が揺らぎかねないと論陣を張りました」

 菅官房長官との対峙。会見に出られるのは政治部記者だけだったが、社会部長に頼み実現。「レイプ被害の詩織さんや文科省の前川元事務次官の問題で質問、多いときは、30分の会見中23分も私が質問し続けました。政権NO2の菅さんに彼らの怒りと思いをぶつけました。『私は傍観者でいいのか』という思いからです」

 菅官房長官とは「ここは、あなたとの質問に答える場じゃない」「事実に基づいて聞いてください」という白熱のやりとりもあり、パッシングも受けた。「米韓合同大演習について質問したら、『望月は北朝鮮のスパイだ』とか『いい加減に、望月記者を叩き出せ』といった誹謗中傷がマスコミ内部からもありました」

 最後に、メディアの役割について「権力の監視、チェックにあり、『会社がどうか』でなく、ジャーナリストとしての信念を強く持つことです。幣原喜重郎元首相やガンジーの言葉をもう一度受けとめ、次の世代に引き継ぎたい」とまとめた。

 望月さんは、2時間立ちっぱなしで、政治家らのモノマネをしながら熱く語った。パワフルでわかりやすい講演に出席者は大きな拍手を送った。

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