都民塾

都民塾だより No.66

 第66回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、平成31年1月24日(木)午後6時半から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。

 築地市場が豊洲に移転。築地市場跡地は、東京都心の残された貴重な財産。そこで、世界の都市計画を研究され、港区長を歴任され、都民塾のメンバーでもある原田敬美先生にお願いして、「世界の都市計画を見て」と題して講演していただいた。

 原田先生は、前港区長、工学博士、国際建築アカデミー客員教授・評議員、明治大学公共政策大学院講師。早稲田大学大学院修了。早稲田大学卒業後フルブライト交換留学生としてアメリカ、ヒューストンのライス大学建築大学院留学。

 講演は、諸外国から見た東京の課題について、ハード面(立体・複合利用、路地裏・水辺・文化技術空間、市場跡地利用、景観規制)とソフト面(文化芸術家の報酬、24時間交通・金融サービス、治安、おもてなし)から詳しく話した。 

 まず、ハード面。「パリの副都心、デファンスは住宅、オフィス、商業、文化、公共施設があり一体利用している。欧米では当たり前だが、新宿副都心はオフィスのみ。ニューヨーク(NY)やイスタンブールには路地裏文化がある。月島などの下町は保存すべき。米サンアントニオ、シカゴ、オランダのウォーターフロントは有効利用して快適空間が創出されているが、東京のそれはあまりに貧弱だ」

 「NYの水辺景観計画は30年前に作り、都市計画には劇場街を規定しており、水辺景観・文化芸術景観が保たれている。東京も水辺景観計画、文化芸術空間を創出すべきだ。市場の跡地は、NY、ロンドン、パリで素晴らしい先例がある。築地も、こうした都市に学ぶ必要がある」

 続いてソフト面。「スウェーデンの職種別給与では音楽家、美術館学芸員、図書館司書ら文化に関わる職種の人が高い。NYのメトロポリタン劇場所属の交響楽団員の年収は2850万円。日本の東京都交響楽団のそれは600万円。日本も文化芸術を高めるためこの分野の給与は高くすべき。また、NYやロス、フランスには文化芸術担当の副市長(副知事)がいる。東京も設けるべきだ」

 「NYのパブリックアートは見事だが、東京にはない。ローマの美術館に比べ、東京の美術館は景観も陳腐。欧米の劇場には、バックステージツアがあるが、東京にはない、これも実施すべき。外国の都市には、深夜まで利用できる両替所があり、NYやストックホルムは地下鉄、バスが深夜営業。これらも東京は取り入れるべき。おもてなしの精神は海外の自治体は熱心、レセプションを通じてもてなしのノウハウがある。治安維持も警察官が軽機関銃を所持するなど真剣だ」

 原田先生は、「東京の悪口を言っているのではない。私は東京が大好きだし、もっと良くして海外からももっと大勢の人が集まる都市にしたいのです」と結んだ。

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