都民塾

都民塾だより No.67

 第67回都民塾(呼び掛け人 立石晴康前東京都議会議員)が、平成31年2月21日(木)午後6時半から中央区の築地本願寺講堂で開かれた。

 今回は、テレビのコメンターター等で活躍中のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)東京支局長、ピーター・ランダース先生を招いて「日産のゴーン事件」や「米国の政治情勢」などについて講演していただいた。

 ランダース先生は、アメリカ・ニューヨーク生まれ。1990年、名門のエール大学卒(専攻:東アジア研究)。AP通信、ファー・イースタン・エコノミック・レビュー誌などを経て、1999年、WSJ入社。東京特派員、本社一面部デスク、ワシントン支局次長などを務め、2014年2月から現職。

 「WSJは、経済紙でスタートしましたが、いまでは政治、外交、スポーツも載せる一般紙で、日本版もあります。社説は保守系、ニュースは中道で、1つの値段で2つの新聞を読む価値がある新聞と言っています」とPRしたあと本題に

 「日産のゴーン問題」について、「逮捕は衝撃的だった。グローバル化が進んでいるが、文化も言葉も違うなかで、どうマネジメントしたのか、に焦点を当てて取材した。ゴーン氏の保釈を巡って、アメリカにいる広報担当と日本の弁護士の主張が異なったのも文化の違いではないか。また、当初、WSJは、東京地検の発表の資料がもらえず困った。捜査機関は海外のメディアにも平等であるべきだ」

 裁判の行方について、「検察の主張には欠点がある。①もらうつもりの90億円の報酬を記載しなかった虚偽記載は、退職後にもらう約束で、もらっていれば記載しないといけないがもらっておらず記載しなくていい②外国為替法違反は、損失を日産に押し付けたというが日産は損をしていない、どう立証するのか③サウジの友人に報酬を払ったのを背任とするが、ゴーン氏はロビー活動費用としており立証が難しい。

 起訴内容とは別のリオやベイルートの豪邸のことが騒がれるなど個人と会社の活動を混同しており、検察は決定打に欠ける。有罪か無罪かは、微妙だ。日本の裁判は起訴されれば99%有罪だが、無罪のケースもあり、ゴーン氏のようなケースが無罪ということもありうる」と話した。

 「米国の政治情勢」については、「次の大統領選挙まで1年8カ月あるが、民主党から6人が立候補を明らかにしている。昨年の中間選挙のような得票をとればチャンスはある。しかし、立候補の6人は、政策の違いがあり、懸案の簡易保険制度をめぐっても意見が分かれている。

 民主党内の内紛が激しくなればトランプ大統領有利となる。しかし、トランプは内政では公約のメキシコ国境の壁建設は実現できず、重要法案も民主党の反対で通せない。外交で実績を上げたいが、北朝鮮の核廃棄、中国との貿易摩擦は先が見えず、ロシア疑惑や税金問題もあって厳しい状況が続いている」と述べた。

質疑応答では、日産のゴーン氏の保釈や米朝首脳会談が話題になった時期だけに、ゴーン裁判や米朝、米中問題などに質問があり関心の高さを示した。 

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