都民塾

都民塾だより No.75

 第75回都民塾(呼びかけ人 立石晴康、代表世話人 野口和久)は、令和元年10月29日(木)午後6時半から、いつもの東京・中央区の築地本願寺2階会議室の会場が修理で使えず、同本願寺の第一伝道会館内振風道場で、政治ジャーナリストの篠田憲明氏を講師に招き、「激動する政局」と題して開かれた。

 篠田氏は、昭和46年、早稲田大学政経学部政治学科卒。欧州留学を経て時事通信社に入社。政治部記者、香港支局長などを務めた。政治部時代は、田中角栄番として活躍、現在は政治ジャーナリストとして講演等の活動を行っている。

 篠田氏の講演は、平成26年12月の第24回都民塾以来。「6年前に講演したのを覚えています。喉の調子が悪く聞きにくかったかと思います。都民塾は、今回が75回、あれから5年以上も続いていることは素晴らしい」と話し始めた。

 「タイトルは『激動する政局』ですが、実は、いま、政治は激動していません。安倍首相の『一強』政治で、判断任せ、決断力のない政治家ばかりになっています。安倍首相は、今年11月20日、”藩閥政治の親玉”といわれる桂太郎を抜いて憲政史上最長の総理大臣になります。

 再来年9月末までが安倍自民党総裁の任期で、通算首相在職日数は3567日になる。既に党則を1回変えているが、再変更して4期(2024年9月まで)にするか、中国の習近平主席と同じように任期制限を撤廃する可能性もある。

 これでは、総理総裁をめざす面々の出番がない。岸田政調会長は当選9回62歳と最も油の乗り切った年齢だが”禅譲狙い”で迫力不足。石破元幹事長は当選11回と政治家歴が長いが”出戻り”の評がつきまとう。菅官房長官は、辞任した身内の菅原経産相の後任にやはり身内の梶山弘志氏を起用、評判を落とした。

 加藤勝信氏は63歳当選6回、当選回数が少ない。茂木外相は当選9回65歳と適齢期だが人望がなく、小渕優子45歳当選7回、野田聖子59歳当選9回のほうが収まりやすい。小泉環境相38歳当選4回は次の次では最右翼に立った。

 私は、林芳正氏(58歳、参院当選5回)林参院議員に注目している。優秀で防衛相、農水相、経済財政担当相などを歴任。安倍首相と同郷、参院議員から衆院議員への転出が難しいのが難点だが、参院議員から首相になるのは可能だ。

 解散の可能性だが、現在、与党は衆院(定数465)で314VS野党140、参院(定数242)で151VS70と優位にたっており、安倍首相サイドは、いま解散の必要はないと考えているようだ。

 政治分析するうえで、『保守・革新』、『右翼・左翼』という言葉が使われているが、最近、リベラルという言葉が出てきたり、ピンとこない政治事象が起きている。これからは、上から目線の『国権派』とれいわ新選組の山本太郎や立憲民主党の辻元清美、世田谷区長の保坂展人ら『民権派』という座標実で見ていきたい」

 講演後の質疑応答では、先の参院選で注目を浴びたSNS選挙等に対する質問があり、篠田氏は質問に丁寧に答えていた。

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