都民塾

都民塾だより No.82

 第82回都民塾(塾長 立石晴康前東京都議、代表世話人 野口和久)が、令和2年9月28日(月)午後6時半から、東京・中央区の築地本願寺第二伝道会館2階瑞鳳で、元商社マンの大西健一氏と産経新聞社会部記者の荒船清太氏の2人を講師に招き最新の国際事情をテーマに開かれた。

 大西氏は、学習院大学法学部卒業後、トーメンに就職。日本がバブル崩壊後の不況のさなか米国オクラホマ州に17年間滞在して、子会社社長を勤めた。同氏は11月3日投票が行われる米大統領選挙について話した。

 「米大統領選挙は4年に1度行われ、任期は4年。有権者が583人の選挙人を選びます。当選には270人の選挙人が必要。選挙人は各州の人口比で割り当てられます。今回は、現職の共和党のトランプ氏と政権奪回をめざす民主党のバイデン氏の争いになります」と述べ、両陣営の政策等の話を続けた。

 「トランプ氏は経済景気と米国第一主義を、バイデン氏は格差是正と国際協調を掲げています。前回大統領選では、トランプ氏が小さな州を押さえ306人、クリントン氏が232人の選挙人を獲得。今回は、激戦区の戦いが勝敗を決しそうです。また、9月29日のテレビ討論にどう答えるかも大事な要素です」

 「投票率は郵便投票もあり、マイノリティーの票も増え、バイデン氏有利とみられていますが、有権者が何を基準に意思決定するかがカギ。コロナか、人種差別か、景気か。多種多様な選択肢があり、キーワードは、オクトーバーサプライズ、Qアノン、隠れバイデン、隠れトランプの4つ。

 (どっちが勝つか?)何とも言えない、前回、トランプ氏は激戦区で勝ったが、今回は取りこぼしがあるかも」 続いて、荒船氏が講演した。同氏は、学習院高等科から上智大学卒。中学時代は父親の仕事の関係で中南米で過ごす。通信社勤務の奥様の海外勤務で、産経新聞を休職してタイに3年間生活。「日本は、友達のいない国だ」と切り出した。

 「北朝鮮と国交のある国は、英仏、インド、ブラジル、中国、そしてタイなど数多く、国交のない国は日米など36ヵ国にすぎません。タイには、北朝鮮のレストランがあり、焼肉が美味く、店員は女性ばかりでみな美人。客は日本人ばかり。ただ、常連になった友人は店長から密輸を勧められ閉口したそうです」

 タイについて続けた。「こんな心地いい国はありません。20年間、政権交代はなく、民主化後も軍事政権出身の首相です。ただ、新型コロナ対策は素晴らしいものでした。都市封鎖など議論はなく、決めたことは即実行です。不自由さもあった。報道を含め王室批判ができず、批判すれば通報によって牢屋行きです。若者らがデモもやっていますが、『蜜になってはいけない』と抑制されています」

 こうまとめた。「東南アジアでは中国に寄り添う国が増えています。タイが中国でなく日本を選ぶかどうか。日本が北朝鮮と付き合っている仲間を、いかにつなぎ取れることができるか、中国は、タイにとって番犬でありロールモデルなのです。安全保障面で日本はどうするのか、も大事な要素となりそうです」

戻る