都民塾

都民塾だより No.87

 第87回都民塾(塾長 立石晴康元東京都議、代表世話人 野口和久)が、令和3年10月14日(木)午後6時半から、東京・中央区の築地本願寺2階講堂で、政治ジャーナリストの篠田憲明さんを講師に招き「新総裁、新総理にかわって世の中はどうなるか」をテーマに開かれた。

 篠田さんは、昭和46年、早稲田大学 政経学部政治学科卒。卒業後、欧州留学を経て時事通信社に入社。政治部記者、香港支局長などを務める。政治部時代は、田中角栄番として活躍、現在は、政治ジャーナリストとして講演等の活動を行っている。

 「難しいテーマである。新総裁、新総理になった岸田文雄さんは、ヌエみたいな人だが、真面目で顔だちもいい。早大法学部卒だが、早大らしくない、ハンサムなので東大か慶応タイプだ。前任の菅義偉さんは総理の顔でなかった。総理総裁の顔というのがある。

 菅さんは師である梶山静六氏の言葉を喋っただけだったが、岸田さんは、所信表明で信頼と共感を得られる政治を訴えた。総裁選で主張した新しい資本主義や令和所得倍増計画は引っ込め、安倍晋三元首相の応援を受けた高市早苗さんの主張に近いことを話した。

 岸田さんのブレーンでもある大蔵省出身の木原稔官房副長官の助言を受けて修正した。岸田さんは『聞く耳』を持つが、すぐに豹変する、君子ではない。いま、財務省事務次官の政治批判が話題になっているが、これは総裁選で4候補がバラマキを主張したのも要因だ。

岸田さんの派閥は、宏池会で、神輿に乗るだけで闘う議員がいない。しかし、大平正芳元首相は、総裁選で福田赳夫氏と争った際、福田氏を破った。大平氏は、総理総裁は闘って取るものだと認識していた。岸田さんに、そうした気概があるかどうかは疑問が残る。

 また、岸田さんの支持率は50%前後と決して高くはないが、政党支持率は41.2%と3.6%上がった。マスコミが、そろって自民党総裁選を報じたせいだ。野党はどうか。立憲民主党は、共産党、れいわ、社民党を合わせても10%に満たない。

 今度の総選挙では、自民は260議席取るだろう。公明党の29議席と合わせて300議席も射程圏内で安定過半数を占め、衆院の各委員会の委員長ポストを握れる。300議席取れば、岸田首相の長期政権に向かうのではないか。

 振り返ると、今回の組閣は奥が深い。福田達夫総務会長を任命したのもそうだ。小泉進次郎前環境相は、農林水産部会長の時、福田氏に助けてもらった恩義がある。河野太郎を広報委員長にしたが、岸田さんの言うことを広報しなければならない立場に追い込んだ。

 所信表明演説で『早く行きたければ1人で進め。遠くまで行きたければみんなで進め』と述べた。『3A(安倍、麻生、甘利)の協力がなければ前に進めない』と勘繰られたが、私は3Aとの決別宣言と受け取った。そのひとつが、岸田派に麻生派、谷垣グループを加えた「大宏池会」の実現だ。これを主張できるのは、首相である今を置いてない」

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