都民塾

都民塾だより No.89

 第89回都民塾(塾長 立石晴康元東京都議、代表世話人 野口和久)が、令和3年12月16日(木)午後6時半から、東京・中央区の築地本願寺2階講堂で、環境活動家の露木志奈(ツユキ シーナ)さんを講師に招き「20歳の環境活動家が考える地球の今!」をテーマに開かれた。

 露木さんは2001年、横浜の中華街に生まれる。高校3年間を「世界一エコな学校」と言われるインドネシアの『Green School Bali』で過ごす。この間、国連気候変動枠組条約締約国会議=COP24とCOP 25に参加。2019年9月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。現在は気候変動についての講演会を全国の約120校で小学生大学生に行うため休学中。

  露木さんは、インドネシアの『Green School Bali』から話し始めた。「幼稚園から高校まで34カ国から500人の児童生徒が学んでいます。校舎の建物は竹でできていて太陽の光が入ります。給食は無農薬栽培の野菜等で、食器のお皿はバナナの葉です。授業中に野生の動物が姿を見せ、授業は教科書がなく体験(五感)で学びます」

 体験学習では化粧品=口紅を作った。「妹は肌が弱く、日本製の自然派(ナチュラル)の化粧品を使っていたら肌が荒れてしまった。化粧品を調べると、開発中にウサギの毛が剥がれるなど50万匹の動物が犠牲になった。容器もプラスチック。私は本物の自然物で口紅を作り、容器も竹製にした。この時、『何か、世の中で行動するとき実現させるのは説得力しかない』ことを学んだ」

 その後、気候変動に特化したプロジェクトチームに入った。「国連の会議に出席すると、若い人が声を上げていたが、日本は気候変動問題では遅れており、世界と情報格差があった。世界で当たり前のことが日本にはなかった。この情報格差をなくすために大学を休学した」

 『地球には限界がある』ことも知った。「気候変動は、人間の体温と比較するとわかりやすい。体温が上がると、薬があり人間は治るが、地球は気温が上がっても治らない(戻らない)。気温が上がり、南極の氷が溶けると、水位が上がる。塩水で植物が育たず、住む人、住む国がなくなる。氷が溶けると、人間に感染するかどうかはわからないが、恐ろしいウイルスが現れる」

 なぜ、こうしたことが起きるのだろうか?「インドネシアのボルネオの熱帯雨林やオーストラリアの干ばつや山火事、ブラジルアマゾンの家畜を育てるための山焼きなどが問題視されている。この『なぜ、の先には必ず自分がいた』。どの問題でも最後は自分に行きつく。誰も環境破壊をしたいと思っていない。日本の食料の大量破棄は600万トンで処理費用に1~2兆円かかる。世界で必要な飢餓にあえぐ人々に必要な食糧援助は300万トン。ファッションも生産の6割が破棄だ」

  「気候変動は人口増だけが要因ではない。活動しながら思うのは、自分ができることからやろうということだ。二酸化酸素排出量は、富裕層が5割で貧困層が1割、原因を作っている人と影響を受ける人は別なのだ。『3.5%の法則』というのがある。100人のうち3,4人が立ち上がれば、気候変動問題なども解決できる。思いがあっても行動しないと駄目だ。『行動こそが世の中を変える』」

 講演のあと、意見交換があり、出席者から行動の在り方など、様々な意見が寄せられた。

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