都民塾

都民塾だより No.96

 第96回都民塾(塾長 立石晴康元東京都議、代表世話人 野口和久)が、令和4年12月15日(木)午後6時半から、東京・中央区の築地本願寺2階講堂で、東京都市大学メディア情報学部社会メディア学科教授、須藤遙子(すどう・のりこ)先生を講師に招き、「『自衛隊の広報』から、日本の安全保障を考える!」をテーマに開かれ、出席者は熱心に聞き入った。

 須藤先生は、1969年鎌倉生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、91年、NHKに入局、幼児番組ディレクターを務める。上智大学大学院で修士、横浜市立大学大学院で博士を取得。筑紫女学園大学准教授・教授を経て現職に。専門はメディア論、研究テーマは自衛隊や在日米軍の広報戦略。

 須藤先生は「私は、メディアの研究家で軍事研究や安全保障の専門家ではありません。自衛隊の広報を中心に安全保障について一緒に考えたいと思います」と話し出した。

 自衛隊の広報のポスターについて「萌えキャラとゆるキャラのオンパレードで、茨城・大洗を舞台にした『ガールズ&パンツアー』はテレビアニメから劇場版映画にもなりました。人寄せと軍事的ないかつさかを緩める効果はあったと思います」

 「自衛隊基地で行われるイベントが人気になっている」と鹿屋や佐世保、呉の各基地の記念館や資料館、浜松の「エアパーク」、東京と埼玉にまたがる「りっくんランド」など大型広報施設を紹介。陸上自衛隊富士総合火力演習の超人気ぶり、岩国基地の日米合同の「フレンドシップデー」における日本の“優しさ”と米国の“カッコよさ”を比較してみせた。

 イベントの来場者について「大規模施設はミリタリーオタクや萌えオタクもいるが、8割が普通の家族やカップル、中規模施設はファミリー層と年金受給者が目立つ。今後、SNSを使った自衛隊の広報戦略が進むのではないか」と述べた。

 自衛隊協力映画の歴史を「1960年から協力映画が作られた。ベトナム戦争などにより70年から89年まで中断した。89年の冷戦が終結した時期から映画協力が再開され、2001年頃からは、防衛省や自衛隊の協力が宣伝文句になり、たくさんの協力映画が公開されるような発展期に入る。この流れは、現在まで続いている」と解説した。

 自衛隊の好感度について「世論調査で好感度は9割前後だが、決して楽な仕事でないので、応募状況は芳しくないのが現状だ。「平和を求める人こそ積極的に安全保障を真摯に語り考えることが必要」な項目として①右派と左派の不毛を乗り越える②国防と警察は国民国家の基本③ハードパワーとソフトパワーは両輪④ハイテク化と情報戦争⑤戦争も外交の延長上-と5つ挙げて、こう結んだ。「混乱の時代、当たり前だが、対話が基本」と日中国交回復の際の周恩来首相と田中角栄首相の対話=握手をあげた。

 この日は、立石塾長が久しぶりに顔を見せ、「非常にタイムリーな講演で楽しみです」と挨拶、この日が81歳の誕生日だということで出席者から祝福を受けた。

戻る