日本橋徒然草

NO.1 菩提樹の苗木

令和元年11月5日 立石晴康

 令和元年10月22日、「令和天皇即位礼正殿の儀」がとり行われます—と報道されました。

 その前日、1本の電話が入りました。築地本願寺宗務長秘書室からです。「令和元年10月21日夕刻、インドの元首である大統領夫妻が築地本願寺を訪れる」との連絡でした。

 当日は小雨がぱらつき、築地本願寺の全体像が、美しい夜景にライトアップされていました。大統領御一行は少し遅れて、パトカー先導で正門からお入りになりました。お寺からは京都本山からのご門主様、大谷光潤猊下をはじめ、石上智康宗務総長、築地本願寺安永雄玄宗務長に続いて、真宗法中、門徒等の関係者が数百人、インドの国旗の小旗を振りながら、お迎えいたしました。

 大統領ご夫妻はお釈迦様の国インドから初めて仏法を広められたという有名な鹿野苑(ロクヤオン・サルナート)から菩提樹の苗木をお持ちいただきました。そこで、寺の境内にこの菩提樹の苗木を記念植樹いたしました。

 大統領夫妻がはじめに鍬を入れ、大谷光潤ご門主様、石上智康宗務総長、安永雄玄築地本願寺宗務長と皆様が丁寧に植樹を終えられました。

 その後、ご門主様のお導きで、大統領夫妻らが本堂に入って歓迎式典が催されました。築地本願寺宗務長の称名によって讃仏偈を全員で唱和し、パイプオルガンの音曲を伴って、本堂いっぱいに溢れる歓迎の響きが起こりました。

 私はインドと聞くとお釈迦様の国13億を超える人口に大国をイメージして、バンガロール市やムンバイ市のICTの先端国をイメージします。

 約45年前、私は東京ブティストクラブのメンバーと、インド、ネパール、当時セイロン(現スリランカ)を半月程仏跡を旅しました。当時、インデラ・ガンディー首相が、総理大臣官邸に私達一行を招き入れてくれました。私が代表してガンジー首相にお話いたしますと、美しい笑顔で「早くあなたのお国のようになりたい」とのお言葉をいただき、感銘いたしました。

 インドは今や、世界で有数のICT先進国となりました。そのインドの元首であらせられる大統領ラーム・ナート・コーヴィンド閣下が築地本願寺に記念植樹され、訪れてくれたことは大変嬉しいことであり、ありがたいことです。仏法が更に広まって世界が平和になることを心から念じて、大統領の車列をお送りしました。

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