日本橋徒然草

NO.5 写楽と亀島橋(亀島川にかかる橋)

令和2年3月5日 立石晴康

 早春の日の祝日。お天気も良く晴れ渡り、久しぶりに東京駅八重洲口から東に約1kmほど行った亀島橋付近を歩いていました。亀島川には、7匹の軽鴨(カルガモ)が川面の陽だまりに小春日和を楽しむように泳いでいました。

 軽鴨は真鴨(マガモ)と違い、茶褐色のかわいらしい水鳥です。7匹の軽鴨はいつも友情に溢れ、先頭としんがりが両親と、真ん中が家族と友人たちなのかもしれません。

 橋の際に、写楽と亀島橋の由来を記した記念碑がありました。これによるとここ八丁堀は、江戸時代中期に阿波徳島の蜂須賀家の中屋敷があったところと記されていました。その中屋敷に、能楽師であった斉藤十郎兵衛がここでいう東洲斎写楽の事かと記述してあります。その絵師写楽は、ここに数年居住して数多くの浮世絵を残したとされています。

 亀島橋は江戸東京の日本橋から隅田川に至る川の中継ぎに位置しております。川の陽だまりにスイスイと泳ぐ水鳥の姿は、春がすぐそこまで来ていることも教えてくれています。

 今中国の武漢のコロナ菌でテレビもメディアも大騒ぎをしています。でもまもなくこの騒ぎも春の訪れとともに終わりを告げると、現代人に軽鴨一派が教えてくれているようです。

 東京駅八重洲口を背に八重洲通りを進むと、隅田川にかかる中央大橋が見えてきました。静かな昼下がりのこの時に、沈丁花の香りが独特な心地よい季節の香りをにおわせていました。

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