日本橋徒然草

NO.10 石畳

令和2年7月4日 立石晴康

 かれこれ50年前になるだろうか、駿河台の明治大学大学院で行政学と地方自治のゼミに入り、弓家 七郎教授から指導を受けました。

 このゼミには6歳程年上の先輩、花川 與惣太さんがおられました。現在花川さんは北区の区長を勤めておいでです。彼に北区の街づくりの方針について伺おうと思い立ち、6月末に北区役所を訪ねました。

区長室では、懐かしい学生時代の話から始まり、都議会では私が先に都議会議員になったので、年上の彼が私を「先輩、先輩!」と呼称されていました。私もまた同じゼミの先輩ですので、彼のことを「先輩、先輩!」と称しておりました。

 やがて街づくりの話も佳境に入りました。北区は王子駅から誠に緑の多い美しい街並みで、中央区から訪ねた私には眩しいばかりでありました。梅雨時で樹木は水にぬれ、梅雨の晴れ間には更にその美しさがスクリーンに映し出されるかのようで、見事な街並みが整っておりました。

 駅から車の通らない、500m程の石畳を歩くと、区役所が見えました。庁舎は古色蒼然とした立派な建物でした。3庁の庁舎に分かれており、廊下伝いに区長応接室に着きました。

 区長とはまるで50年前に戻ったかのように話し、友達とは誠に有り難いものだなぁと実感しました。世界に人口65億、70億とか言われる昨今だからこそ、わずかな縁の大切さにしみじみいたしました。美味しいお茶をご馳走になり、愉快な時間を持ちました。

 帰りにはアーケードの高い十条の商店街を歩きました。商店街を歩いていると富士講浅間神社のお社が見えました。日本橋から始まって、世界遺産の富士山の浅間神社の一里塚としての役割を果たしながら富士山へ続いていたのだなぁと、鎮守の森の素晴らしさを実感しました。300年を超える神木が悠然と、鎮守の森の整然をなしていました。

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