日本橋徒然草

NO.21 皆既月食

令和3年6月 立石晴康

 日本橋三越本店の近くに、日銀裏通りがあります。この道は私がよく通る道です。古い日銀本店の建物や三井本館など、歴史を感じる大好きな建物が並んでいます。この通りは、日本橋を背に三越と日銀の裏通りから、北に1kmほどの神田駅方面の、中央区と千代田区の区境にあります。

 中央区内の区境は本石町にあります。その本石町にあるかかりつけのクリニックで、ワクチン注射を打ってきました。チクッとしただけで、何の痛さもありませんでした。N501Y(報道によれば、中国武漢市から蔓延したとも言われている恐ろしい新型感染症)の予防のワクチンを打ってきたので、ホッとしたところです。

 5月末に、親しい友人から携帯に電話がありました。夜の8時半ごろです。馬鹿にいつもと違うヘリコプターの音が賑やかで、何か事故でもあったのかなあと思っていた矢先のベルでした。その電話は皆既月食を知らせてくれた友人の電話でした。そこで家の前の道路に出て北東の空を見上げると、まんまるのお月様に、皆既月食の見事な風景でした。コロナ、コロナの自粛要請で自宅事務所に巣ごもりする私にとって、見事な天体ショーでありました。

 早速テレビのニュースや、翌朝の新聞でもこの事が報道されていました。次の月食は調べてみると、12年後と書かれていました。私は今79歳なので、次の月食を見るには91歳という事になります。やれやれ。

 江戸時代の本草学者、儒学者貝原益軒の養生訓によれば、「人生の喜びは後半にあり」と書かれていたことを私は思い出しました。現役時代に誰が早く部長になったとか、重役になったとか、大いに気になりましたが、この偉大な宇宙の天体ショーに比べたら、比較にもならない小さなことだと、今更ながらに思いました。

 さて、石川県輪島市白米町から見た素晴らしい写真が、カレンダーに載っていました。五月晴れの青空と能登半島の美しい紺碧の海に加えて、新緑の段々畑がそれぞれ見事に描かれていました。ワクチンを打ったので、2回目のワクチンが3週間後(6月中旬)以降に打つことになります。そうすれば、旅を楽しむことができるのであります。そこで、この能登半島を旅したいと思います。

 ワクチン様様です。近くの方々に「おはようございます」「こんにちは」「ただいま」と交わす挨拶も、当たり前でないことを教えてくれたコロナの世界的蔓延であったのかもしれません。

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